中国では若者世代での就職率や失業率の悪化に加え、就職出来たとしても過度な長時間労働、サービス残業を強いられることも珍しくありません。こうした労働環境を表す流行語も数多く誕生し、「朝9時に出勤し夜9時に退勤し週6日働く」という違法労働環境を意味する「996工作制」という言葉も一般的となっています。
香港メディア・東網(11月26日付)は、中国の大手保険会社が発売した新たな保険商品が大きな議論を巻き起こしていると報じています。
今回同社が販売した保険商品は「996奮闘無憂(長時間労働も心配なし)」と名付けられた商品で、長時間労働による健康被害を保険でカバーしようという内容となっています。
保険の掛け金は年間18元(約360円)で、長時間労働により死亡した場合、最大で60万元(約1200万円)が受取人に支払われることになります。また長時間労働を原因とする健康被害なども対象となっています。
中国最大手の保険会社が販売した今回の保険商品について中国のネット上では、「そもそも長時間労働をさせること自体が違法なのに。違法行為を助長させることに繋がりかねない」「需要があるからこうした商品が出てくるのだろう。なぜこんな社会になってしまったのか」「社員を長時間労働で殺すような会社にとっては心強い保険だ。こんな保険があるからますます長時間労働をさせても良いと思う経営者が出てきそう」などの声が寄せられています。
若者の過労死やそれによる自殺などが頻繁に報じられる中国。まさにこうした世相を反映しているかのような保険商品です。