欧米や日本でも開設されている孔子学院。中国教育部(文科省に相当)が、海外における中国語学習者に中国語を学ぶ機会を提供し、中国文化などに親しんでもらうことが目的で、海外の大学と提携し現在約146ヵ国で展開しています。
イギリスメディア・デイリーテレグラフ(9月22日)は、イギリス政府がイギリス国内の30の孔子学院について、補助金の支給を全ての孔子学院で停止することを発表しています。イギリスやアメリカでは、これまで度々議会で「孔子学院が中国共産党のスパイ機関となっている」「共産党思想の広げるための洗脳機関となっている」との指摘が寄せられていました。今回のイギリス政府の決定もこうした議会での議論やメディアの指摘が影響しています。
しかし、これまで実際に孔子学院で学んだ人からは政治的な思想についての授業などは一切なく、中国語の授業のみだったという証言を私自身確認しています。また、欧米議会でやり玉に上がる「孔子学院スパイ疑惑」について、これまで証拠が示されたことがないのが現実です。
中国でも、日本人学校を含む外国人学校やインターナショナルスクールが「スパイ機関となっている」という動画や情報がネットで拡散されるなどしています。こちらも、当然ながら証拠が示されたことはありません。こうした曖昧な憶測だけで市民間の対立を煽ることで何が起こるのか、一人一人が考えていかなくてはなりません。