中国でも一つの職業としてすっかり定着した「動画配信」。配信を通じてファンからの投げ銭、商品紹介などの企業案件、配信による広告収入などによって生計を立てる若者も多く、中国国内のTikTok人口は6億人以上とも言われています。その一方、中国のネット上ではサクラ行為が横行しており、視聴者数やイイネの数の水増しも珍しくありません。
中国ではこの時期になると毎年、中国国営テレビ・CCTVによるグレー産業への潜入取材が行われ、その実態が放送されます。3月15日が「国際消費者権益デー」であることからこうした取り組みが行われているのです。
CCTVが今回、潜入取材したサクラ業者は「イイネ」を10万イイネで18元(約360円)、視聴回数を100回当たり49元(約1000円)、コメント30件当たり59元(約1150円)の価格で提供していました。報道によると、この業者はそれぞれのSNSで大量のアカウントを所持し、2万台のスマートフォンを使いサクラ行為を行っていると言います。一台のスマホで2万台のスマホに同時に指示を送るシステムを確立し、イイネやコメントもアカウントを切り替え自在に行っています。
口コミ社会でもある中国では以前からこうしたネット上でのサクラ行為が社会問題となっていました。一般のネット利用者からすれば正確な情報を得ることが難しくなるだけでなく、世論操作につながったり、企業や個人が競争相手を貶める際にも利用され実際に、企業による自社製品のアピールや競合企業の製品のイメージを故意に悪化させるという事件も発生しています。