習近平政権発足以来、対立が鮮明となっている中国と台湾。戦後、その中台の戦闘が激しく行われたのが現在、台湾の支配下にある金門島です。中国アモイとはわずか2キロの距離にある小さな島ですが、台湾にとっては台湾防衛の最前線の重要な要所となっていて、現在も台湾軍が駐留し常に緊張が走る場所でもあります。
こうした中、今月この金門島に駐留していた台湾軍の兵士が泳いで中国に渡っていたことが分かりました。中国メディア・網易新聞(3月13日)は、この兵士について金門諸島の一つ、二擔島で炊事係に従事していた台湾軍の兵士で、今月9日午前に行われた点呼の際に行方が分からなくなったことが発覚し、捜索が行われていたと報じています。
この兵士は、9日に泳いで4キロ先の中国側に渡ったと見られ中国海警局によって救助され、救助された際、ライフジャケットを着用していました。なぜ、台湾兵士が中国側に事実上の亡命をしたのか、現在までに詳しい説明は行われていませんが、複数の中国メディアは金門諸島の台湾軍では食糧不足が深刻化している可能性があり、軍内部の物資不足などが原因で兵士が逃亡したのではないかと報じています。
実際に今月、金門諸島の西莒(せいきょ)島では、肉などの食糧が不足しており缶詰しか食べていないことなどの不満の文章が砂浜に書かれていたことが明らかになっています。また、対中戦を意識した台湾では軍内部の訓練も厳しくなっていることも予想されており、兵士の不満が高まっていることも指摘されていました。