中国版子ども手当「生育基金」 中国で閲覧制限の対象へ | 周来友 オフィシャルブログ

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中国出身のジャーナリスト、タレント。
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少子高齢化が深刻な中国。2020年の出生率は建国以来最低を記録しました。「一人っ子政策廃止」「三人っ子政策導入」「塾禁止令」「離婚への行政介入」「子育て世代への公共住宅提供」など、あらゆる手段を講じ、少子化対策を行なってきましたが、目立った効果は出ていないのが現状です。

そんな中、中国で注目を集めたのが先日もお伝えした経済学者・任澤平氏による「生育基金」の創設でした。


任澤平氏は、若者が子供を産まない選択をする最大の理由に「教育費の高騰」を挙げ、中国政府が子ども手当にあたる「生育基金」の創設を行うべきであると、自身の主張をウェイボ(中国版Twitter)に発表したのです。32兆円にも上る生育基金構想ですが、財源が紙幣の増刷というものだったことから中国国内では賛否両論の議論ともなっていたのです。




大きな注目を浴びた生育基金構想でしたが今月12日、ネットの閲覧制限の対象となり、投稿が削除されていたことが分かりました。アカウントや過去の投稿については現在も閲覧することが出来ますが、当該の投稿はすでに削除され「SNS管理規定や法律に違反しているため閲覧禁止」という表示が確認できます。また現在、新たな投稿などは出来ない凍結状態となっていることが伝えられています。




中国国内では以前から、子育て世代に向けた政府による経済的支援を求める声がありましたが、財政的な問題から政府は、「塾禁止令」など教育費の高騰を抑える間接的な政策を行なってきました。今回、任澤平氏が掲げた生育基金構想が拡散されれば、直接的な経済支援を行わない政府に対し、国民の不満が高まることが警戒され閲覧制限対象となったことが予想されます。

中国のネット上では、「単なる個人の経済的な主張を閲覧制限ってやりすぎだろ。表現の自由だろ」「生育基金の主張のどこが法律違反なのか政府は説明するべき」「金がない政府にとって耳の痛い主張だったんだろうな」などのコメントが寄せられています。

事実上、中国版子ども手当として提言された「生育基金」制度。一方、その提言の存在自体を消した中国政府。中国で少子化が改善されることはまだ先のことになりそうです。