【Info News Zero】日産、米国でエンジン生産拡大 新NAFTAに対応【日経】 | 【一流企業経営マネジメント対策】【high land presidential group atendantia】【トッププロフェッショナル コンサルティングチーム】
日産自動車は米国で高級車のエンジン生産を始める方針を固めた。北米自由貿易協定(NAFTA)の見直しで、部品の域内調達率を75%以上に引き上げないと域内の輸出入に関税が発生するため、現地生産に切り替える。2020年の新協定の発効を見据えた生産移管は日本車大手では初めてとなる。部品供給網(サプライチェーン)の見直しが本格化しそうだ。
 
米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA、通称・新NAFTA)への対応は欧州車が先行する。欧米フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)が米国への生産移管や工場新設を打ち出すほか、フォルクスワーゲン(VW)などドイツ車大手も米生産の拡大へ前向きな姿勢を示している。関税は北米での価格競争力に直結するため、各社に投資判断を迫っている。
 

 
新NAFTAは18年9月に合意が形成され、20年1月にも発効される見通しだ。完成車の部品の域内調達率を現行の62.5%から75%に高めることなどが求められ、達成できないと域内の輸出入に最大で25%の関税が発生する。
 
日産が米国生産を始めるのは、高級車「インフィニティ」ブランドの主力車種である多目的車「QX50」に搭載する最新型エンジンで、現在は横浜工場(横浜市)から輸出している。20年にも米デカード工場(テネシー州)で生産を始め、メキシコ工場で完成車に組み立てる。生産数量は当初2万台以上分とみられる。横浜工場でのエンジン生産は継続する。
 
エンジンは金額ベースで完成車の約2割を占め、部品調達率を引き上げる効果が高い。今回の対象車種はエンジンの米国生産により調達率75%を達成し、域内の輸出入がゼロになる見通しだ。今後、調達率が75%を下回る他の車種にも現地生産のエンジンを順次採用するとみられる。
 
日産の18年の北米販売は7%減の195万台と不振だった。いち早く新NAFTAに対応した生産体制を築き、北米事業を立て直す狙いもある。
 
日本車大手ではトヨタ自動車が新NAFTA合意前に、米国で初めてとなるハイブリッド車(HV)向けの基幹部品の生産を20年から始めると公表している。新NAFTAに対応し、「他の部品についても現地生産の拡大を検討している」(トヨタ幹部)という。
 
FCAは20年にピックアップトラック「ラム」の生産をメキシコから米国に移管するほか、18年末には休止中のデトロイトのエンジン工場を刷新し、20年から「ジープ」ブランドの大型多目的スポーツ車(SUV)を組み立てる計画も明らかになっている。
 
VWやダイムラーなど独大手3社の首脳も18年末にトランプ米大統領と会談。BMWは会談後、2021年までの3年間で米国に6億ドル(約660億円)を投資するとの声明を発表した。VWも戦略提携したフォードの米工場を使いVW車を生産する可能性があることや、電気自動車(EV)の工場建設を検討していると説明したもようだ。
 
部品の生産拠点の変更にはリスクが伴い、検討を要す。