一時期気に入ってよく買って飲んでいたワインが、あまり手に入らなくなることがある。

輸入元が変わったり、ドメーヌとの契約が切れたりするのが原因だと思うが、そういうときはたくさん買わなかった事を後悔する。

そういう経験をすると学習し、気に入ったワインは大量に買うようになる。


私にとってはこのワイン、ドメーヌ・ミッシェルのシャルドネもそういうワインの一つだった。

ドメーヌ・ミッシェルは、ブルゴーニュ南部マコネ地区のヴィレ・クレッセに拠点を置く生産者で、そのほとんどがフランス国内で消費されるという。


わずか10%ほどが輸出されるというが、私の懇意にしているコンサルタントが顧客の要望で一時期輸入していた。

といっても現地に行ってお願いし分けてもらったという程度の数量で、それほどたくさん入ったわけではなかった。


ちなみにそのコンサルタントのポリシーは、その地域のトップ生産者を輸入するという事だ。

その方曰くヴィレ・クレッセのトップ生産者である、ドメーヌ・ボングランに匹敵すると評価したという。

また、エージェントをしているルー・デュモンの仲田さんも、こんな生産者が隠れていたのかと舌を巻いていたそうだ。

私が気に入ったのは、2017のヴィレ・クレッセ シュール・シェーヌ、そしてもう一つがこの2016のヴィレ・クレッセ カンティーヌだった。


輸入した経緯からも、ずっとパートナーシップが維持できるとは考えにくく、当時3,000円強で買えたためケース買いをした。

数年前よく飲んでいたが、セラーを整理していたらカンティーヌの2016ヴィンテージが見つかった。

それほど長命ではなさそうなマコネのワインなので、そろそろ飲んでみようと開栓した。


なお輸入元は大雅で、グラスはシュトルツル・ラウジッツのクアトロフィル ホワイトワインを使用した。


【テイスティング】

はちみつ漬けのカリン、熟した白桃、砂糖をまぶしたドライアプリコット、石灰のミネラル。

貴腐ワインのような甘さ、ホワイトグレープフルーツのワタ、アーモンドの皮の苦味、レモンの皮。

トロピカルな果実味、ホワイトペッパー、クリームチーズ、こってりしたバター、焼き芋の蜜。


甘味と苦味が強めのシャルドネで、辛口のシャルドネとしてはかなり甘い部類に入る。

その点が少しだけ飲み進まない理由になるワインで、食中酒としては少し料理を選ぶ。

スパイスの効いた豚トロのグリルや肉じゃがに合わせて飲んだが、おそらく魚介系はムニエルやクリーム系以外は厳しめだろう。


2016のヴィレ・クレッセなので、熟成が進みすぎているかと思ったが、意外に強さがありそれは感じなかった。

1本飲みきったが、おそらく3回ぐらいに分けて飲んでも良さを維持するのではないか。


このヴィンテージの評価についてはVivinoで4.4と、かなりのハイスコアを叩き出している。

人を選ぶワインだという印象なので、熱烈な愛好家がいるのだろう。

50%はフランス国内の個人顧客らしいので、辻褄が合う。


コースだと前菜よりも、鳥肉や豚肉のメインから焼き菓子やデセールに合わせる方が合っていそう。

また、四川などのスパイシーな中華と合わせても楽しめるのではないか。

季節的には秋から冬にかけて飲みたいワイン。

トロピカルフレーバーに餓えているウイスキーloverにも刺さりそうだ。


久しぶりに飲むといろいろな発見がある楽しいワインで、久しぶりにヴィレ・クレッセを堪能することができたワインだ。


【Verygood!!】