日本政府が進めてきた露骨な国民窮乏化政策。一億総活躍という名の国家総動員、女性活躍と言う名の勤労動員、裁量労働制という名の働かせ放題・・・挙げたらキリがないが、今度は選択的週休3日制だ。
希望者は週休3日を選択できるという。一見いい話のようだが、収入が減ることは一目瞭然である。なるべく賃金を払いたくないという、財界の本音が見え見えだ。昨夜の某ニュースでこれが取り上げられ、それにキャンプファイアーという、全員リモートワークにしている特別な会社の経営者が、賛同していた。
「週休3日になれば、副業や兼業がしやすくなるし、学び直しや自己研鑽も進む」そうだ。笑止千万とはこのことである。今のこのご時世で、副業や兼業、学び直しなどする余裕のある人間が、どれぐらいいるというのか。その目は節穴か。
そもそも副業や兼業で稼げる人間など、ほとんどいない。マスコミがよく、ごくわずかの成功例を紹介しているが、アホらしくて見ていられない。そもそも財界が社員の副業や兼業を解禁したのは、「もう給料は上げないから、不足分は自力で補え」という意思表示である。
政府はこの一連の流れを、働き方改革の一環であるかのように強弁しているのである。それを「自称」識者が、世界の流れと称賛しているのだから唖然とする。何事につけ日本の現実を見ず、一般論でしか語らないのはアホである。口が悪くて申し訳ないが、本当のことだから仕方がない。
しかも、これを座長として取りまとめているのが猪口邦子なのだから、話題にするのも馬鹿らしくなる。この人はかつて、珍しい若手女性政治学者として持ち上げられていた。そこで著書を読んでみたが、何が言いたいのかさっぱりわからなかった。
そして自民党から声がかかり、当選したら大はしゃぎで、夫に付き添われて初登院して世間を驚かせた。なぜ? どうもこの夫婦は、父と娘のような関係らしい。へぇ・・・ノーコメント。
さらに大臣になったら、舞い上がって青いふんわりドレスを着て閣僚撮影に臨んだ。当時、ドラえもんドレスとして話題になった。まぁどうでもいいが、そんなに嬉しかったのか。そう言えば同じ頃、やはり自民党から声がかかって当選した、丸川珠代も舞い上がっていたなぁ。
さて、この「自由で多様な働きか方」というのは安倍政権以来、雇用を流動化、つまり不安定にする時の常套句である。雇用を不安定にすれば企業は人件費を抑えられる。失われた30年の間、財界はひたすらこれを主導してきた。
今や人件費削減は、日本の企業文化として定着している。おかげで研究開発力は落ち、技術は失われ、日本は低賃金国となって人材は流出する一方。間もなく若者たちは、アジア諸国に出稼ぎに行くようになるだろう。
週休3日制を伝えるニュースはどれも、まず利点を挙げたのち、「しかし給料が下がる心配も」と結んでいるが、この「も」が曲者だ。いつもそうだ。日本を非正規大国にした派遣の対象拡大も当時、「雇用が不安定になる可能性も」と言われたのである。
どうして、こんなに腰が引けているのか。大広告主である企業に遠慮しているのか。それとも、自分が恵まれた立場にいるから、大多数の人々の球場がわからないのだろうか。そういえば「週休3日制は世界の流れ」と言っていた「自称」識者たちは、いかにも恵まれているような人ばかりだった。

