ジョージ・W・ブッシュ 前大統領は立派だった。減税と自由競争を重視し、民間の力をフルに利用して経済の活性化を図った。明快な理念で国際社会における指導的立場を揺ぎ無いものとし、軍事行動も厭わず世界的な規模で民主化を推進した。単独主義と云われるけれど、実は米国の国益のみならず、わが国をはじめとする民主主義国家群に平和と繁栄をもたらした。徹底的な現実主義者であり、極めて有能な政治家であったことは間違いない。
にもかかわらず、わが国ではブッシュ 前大統領に対して非難轟々だった。って云うか日本のマスメディアが、大統領への米国や世界の賞賛をすべて無視して、逆に反ブッシュ 勢力の声だけを紹介していたように思う。馬鹿だ、戦争屋だと、ありったけの罵詈雑言や誹謗中傷を投げかけたのは異常だった。おおかた支那や北朝鮮 あたりの意向に従ったんでしょうね。
もっともブッシュ 大統領任期満了後、民主党 が勝利したのは紛れもない事実。僅差とは云え、共和党が敗れたのだから、ほら見ろ、ブッシュ の悪政が問題だったと嬉しそうに指摘する向きもある。でも実際にはアメリカでブッシュ の後継者に期待する声は強かったし、そもそも共和党への信任も厚かった。唯一の誤算はリーマンショックによる株価の暴落。アメリカ では株価が落ちると時の政権が厳しく非難されるのです。
さて、オバマ大統領 が滅多打ちにあっている。ねじれ議会とは云え連邦予算がここまでスッタモンダするのは、指導力不足だと攻められている。まだ任期が1年半も残っているのに、早くもレームダック化した印象です。国民皆保険制度の導入、GMの国営化、失業保険適用期間の延長策、環境保護政策の強化など、どれもこれも社会主義的政策が反感を買うばかり。その上、莫大な財政出動をしながら、一向に経済好転の兆しがない。悪いことに将来の展望らしいものも示せない。軍事外交面ではアフガン撤兵を打ち出したものの、あとは野となれ山となれみたいな話で無責任極まりない。はっきり云ってオバマ政権はもう駄目って感じ。チェーンジ!って叫んでは喝采を浴びた、あの輝きはどこにもありません。
ところが、これまた日本のマスメディアは、オバマ民主党 政権の人気凋落には口をつぐんでいる印象がある。僅か2年前、アメリカ が共和党から民主党 に鞍替えしたからと、日本も民主党 に政権交代だと煽ったメディアにとって、オバマ大統領 の不人気さは隠したいのかも知れないが、ヘンな話です。わが国への影響も強い大国であり、安全保障上極めて重要な同盟国であるアメリカの動静くらい、しっかり報道すればいいのに。
今や弱者救済を前面に掲げて「大きな政府」を標榜するオバマ民主党 から人心が離れていること。反対に自助努力を前提とした「小さな政府」を求める声が大きいこと。ネットで緩く繋がる草の根保守市民のティーパーティ運動の隆盛。古き良きアメリカを求める伝統への回帰。この振り子の揺れは決して、アメリカ に限定された現象じゃない。日本でもヨーロッパ でも同じ変化が起きている気がします。
わが国で起きている民主党 政府の恐るべき退廃や、その反動のような草の根保守の愛国運動を見ていると、太平洋を挟んでいるとは云え、日米、同じ空気を吸ってるんだよなあって思うのです。
