『独眼竜政宗』第6回『侍女成敗』簡易感想(ネタバレ有) | ~ Literacy Bar ~

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ここはイマイチ社会性のない自称・のんぽりマスターの管理人が、
時事、徒然、歴史、ドラマ、アニメ、映画、小説、漫画の感想などをスナック感覚の気軽さで書き綴るブログです。
※基本、ネタバレ有となっていますので、ご注意下さい。

鬼庭左月「村岡を討つように命じたのは、この左月めにございます! 喜多に罪はございませぬ。何卒、それがしを御成敗下さいますよう、殿におとりなしのほどを!」
お東の方「オホホホホ……手柄顔を致すな、左月は嘘を申すと鼻の穴がヒクヒク動く」
鬼庭左月「えっ?」バッ
喜多「嘘でございましょう、お東さま?」
お東の方「ああ、嘘だぜ……だが、マヌケは見つかったようだな」バァーン!
喜多「あっ!」
鬼庭左月「……シブいねぇ、まったく、おたくシブいぜ」ゴゴゴゴゴ


完全に一致なんですけど。

何よりも作中最強の存在という点で共通する承太郎とお東の方ですが、こんなネタまでやれるとは思わなかった。どう見てもダークブルームーン戦です、本当にありがとうございました。
今回は今までにもまして脚本家の凄味を感じさせられたといいますか……何が凄いって大河ドラマなのに全く歴史が動いていないんですよ。普通、歴史が動いていないというフレーズは大河記事では批判のニュアンスで使っていますが、今回は全く逆。純粋に物語として面白かった。大河なのに歴史の流れを描かず、それでいて視聴者を全く退屈させないってどういうことだよ。そもそも、今回の眼目をまとめると、

まー君と愛姫の間になかなか子供ができなかったことの物語上の理由づけ

でしかないんですよ。史実としては先回の感想でも触れたように、まー君は若い頃から【アッー!】が大好きで大好きで仕方なかった所為で子づくりが遅れたのだと思いますが、そんなネタを生々しく描くのが許されるのは悪左府だけだ。何度も述べてきたように本作は本格ホームドラマ大河なので、万人受けする表現で主人公夫婦のすれ違いを描かなくてはいけない。そのための布石として、長年仕えてくれた村岡を伊達の都合で喪った&その村岡を斬った喜多が自分の傅役になったことで、愛姫が心を閉ざすという流れに持っていった。それだけの内容に過ぎないんです。でも、それが凄く面白かった。何でしょうね、理由は色々と考えつきますけれども、一番の要素は、

登場人物が全員生命懸け

なのがヒシヒシと伝わってくることでしょうか。村岡も単純にへそ曲がりや縄張り根性で喜多に対抗意識を燃やしているワケではない。次男、三男を田村家に貰い受けるという約定があるとはいえ、その母親が完全に伊達家の色に染まってしまっては、生まれた子が実家に戻ってもうまくやっていけるとは思えない。丁度、竺丸の養子話がある家がそんな感じに描かれていました。ちゃんと言外に表現されているんですよ。更にいえば伊達家中に田村家の隠然たる勢力を張り巡らすのも愛姫と村岡の役割。その任務の達成が困難とあらば、縁談を御破算にして可能性のある他家に嫁がせたほうが田村家のためになる。勿論、長年仕えてきた愛姫への惻隠の情もホンモノ。敢えて自分を斬らせることで喜多に自らの愛姫への思いを託した。生命懸けの計算が村岡の心中にある。
喜多も喜多で村岡が縁切りのために書き殴ったまー君の悪口が世間に流布しては一大事なので、成敗の一件を『私怨私闘』と言い張る。この点は小十郎も、そして村岡も同じですね。密書が露見すれば伊達と田村双方の顔に泥を塗ることになり、ヘタをしなくても戦になる。それはお互いが傅役を務める藤次郎&愛姫のためにならない。自らの生命を犠牲にしてでも、主君の名誉を守る姿勢が明確に描かれていました。特に喜多の覚悟のほどを際だたせたのは左月の存在。通常は何かある度に『死んで償え』と山川兄のように怒鳴りつける左月が、冒頭のやり取りのように今回は喜多を庇った。これが喜多の置かれた状況が尋常ならざる窮地であることをしめしていました。そして、

向館内匠「斬ったほうも御家のため、斬られたほうも御家のため。それでよいではないか」

という台詞がトドメ。自己を犠牲にしてでも主君や御家を守る。戦国の雰囲気たっぷりじゃあないですか。全然歴史が動いていなくても戦国ものを見たなぁという気持ちになれるワケですよ。つけ加えると当事者以外で今回の騒動の真相を知っているのは輝宗だけなんですね。お東の方も察してはいるでしょうけれども、正式な報告を受けているワケではない。この辺の厳然とした区切りにも戦国臭さを感じます。勿論、上記の向館さんの台詞は所詮、男系武家社会のエゴであり、それを理由に長年仕えてくれた侍女を喪った愛姫本人は到底納得できないというのも道理。まぁ、子供だからね。能観劇や雪だるま(これ、アバンタイトルの伏線回収だよな)にも心を動かされない様子こそが今回の肝。即ち、まー君と愛姫のすれ違い婚の始まり始まり~というワケですね。いやー、面白いわ。

面白いといえば、今回はお東の方が要所要所で小ネタをかましてくれたのが楽しめました。『私も伊達に嫁いできた当初は心細い思いをした』とか猪片手に嫁入りした女が何を言うとんのかと視聴者全員が総突っ込みを入れたに違いない話を真顔でしたり、愛姫を説得できなかった藤次郎に『嫁一人御しきれないとは情けない』と輝宗が若干、動揺ぎみに妻のほうを向く台詞をかましたり、まぁ、結局、作中最強はこの人なんだよねというのを改めて感じた次第。でも、一番ツボったのが前半のお東の方による薙刀道場。愛姫に指導するお東の方の声の張りが半端なかった。今日日、ホンモノのコーチでもあんなに凛々しく張った声は出せねーぜ。あまりにも堂に入った演技に逆にニヤニヤしてしまいました。

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