出世 | 抑鬱亭日乗

抑鬱亭日乗

複数の精神疾患を抱える者の独言を忌憚なく収録する
傾いた視線からこの世はどのように見えるのか

 京都の地方紙を購読している。

 紙面の端にカラーで顔写真が印刷されている。

 桂小枝に似た60代のオッサンである。

 

 その記事を読むと、中学生の時の英語の先生ではないか。

 校長を務め、定年退職は隠居生活を送っているものと思っていたが、教育に関する活動に携わっているようだ。

 任期は3年と記されていることから、何らかのポジションに就いたと考えられる。

 

 この先生にはいくつかの忘れられないエピソードがある。

 

 中学3年の1学期、最初の英語の授業で先生は警告した。

 「おい、この中で大学受験を考えてる奴はいるか?」

 小学生の頃から、小生は大学へ進学すること決意していたためか、今でも鮮明に覚えている。

 

 「大学入試ではなぁ、第一志望に合格することはでけへんのやぞ。覚悟しとけ」

 「俺はなぁ、第6志望の大学に行ったんや、第1志望にから第5志望まで全部落ちたんや」

 「結局なぁ、京都〇国〇大学にしか行けへんかったんや」

 「大学入試は厳しいぞ」

 

 大学進学を考えていたため、これらの先生の言葉が脳に突き刺さった。

 小生は中学卒業後、当時スパルタ教育による国立私立難関大学への進学実績を誇っていた高校に入学した。

 高校3年間を受験勉強に費やした結果、運よく第一志望の大学へ進学することができた。

 先生の嘘つき。

 3年間、しっかりした指導を受けると、成績は伸び、合格できるではないか。

 

 先生の第一志望はどこの大学だったのだろう。

 中学生の時に本人に聞かなかったのが今でも悔やまれる。