建物 | 抑鬱亭日乗

抑鬱亭日乗

複数の精神疾患を抱える者の独言を忌憚なく収録する
傾いた視線からこの世はどのように見えるのか

 元日の夕刻。

 突然、手元にあるスマートフォンが騒ぎ始める。

 石川県で大きな地震が発生した旨を表示している。

 次の瞬間、京都に38秒後に地震が起きると表示している。

 北陸方面で大きな地震が発生したことは理解できたが、本当に京都も揺れるのだろうか。

 

 このようなことを考えていると、住居が揺れ始めた。

 建物が回るような揺れがしばらくの間、続いた。

 間違いなく北陸方面で大きな地震があったことを確信した。

 太平洋の南海・東南海トラフで大地震が発生することは予想されているが、能登半島で発生するとは思ってもみなかった。

 

 再びスマートフォンが騒ぐ。

 次は津波警報が発せられた旨を表示している。

 ここでラジオをつけてみた。

 するとアナウンサーが絶叫している。

 「大津波警報が発令された、一刻も早く逃げて、高い場所に逃げて」と何度も叫んでいた。

 ここで初めて小生は事の重大さを認識した。

 

 翌日、ニュースで街の様子を知る。

 古い建物の1階が2階に押しつぶされている。

 この映像で小生は阪神大震災を思い出した。

 当時の建物は今のような耐震基準がなかったため、建物の1階が軒並み押しつぶされていたのである。

 建物の下敷きとなり、犠牲となった御仁が大勢いた。

 圧死は免れたものの、生きたまま火災に巻き込まれた御仁も少なくなかった。

 

 災害は突如、姿を現す。

 備えが重要である。