翻訳 | 抑鬱亭日乗

抑鬱亭日乗

複数の精神疾患を抱える者の独言を忌憚なく収録する
傾いた視線からこの世はどのように見えるのか

 贔屓の書店をうろうろしていると、面白いものを見つけた。

 ナニワ太郎&大阪弁訳聖書推進委員会『コテコテ大阪弁訳「聖書」』(データハウス、20012年)。
 本書は新約聖書のマタイ伝を関西弁に翻訳したものである。
 マタイ伝のみであることから、およそ200頁にまとめられている。
 ふざけた書物と思われるかもしれないが、内容はしっかりしていて、飽きない。

 マタイ伝はイエスの系譜から始まる。
 何人出てくるのかというくらい、人名が並んでいる。
 本書はそれをうまくまとめている。

 「・・・知らんおっさんの名前があるだけやし、合理的な関西人には我慢できまへん。・・・アブラハムちうおっさんからダビデはん、ほいでイエスまでの系図が書いてあるちうことですわ」(本書21頁)
 
 このような書き出しで始まる聖書は面白い。
 難しい専門書を読むより、本書を読む方がよい。

 聖書の入門書として、推薦できる1冊である。