宝くじ | 抑鬱亭日乗

抑鬱亭日乗

複数の精神疾患を抱える者の独言を忌憚なく収録する
傾いた視線からこの世はどのように見えるのか

 駅前にある宝くじ売り場の前を歩いていると、怒り心頭した老婆の叫び声が聞こえてくる。

 おもしろそうだから自動販売機でお茶を買うふりをして、ことの成り行きを観察することにした。


 老婆は宝くじを売った人間に罵声を浴びせる。

 「あんたが、当たるてゆうたけど、当たらへんで。」

 「そのうち当たる、てゆうから買い続けてるけど、当たらへんやないか」

 「どうしてくれるんや。」

 「いままで、なんぼつこたと思てるんや。」

 「あんたは詐欺や。」

 関西弁で売り子を罵倒し続ける。


 その御仁、小生より50年くらい長く生きていると思われる。

 何を学んできたのだろうか。

 宝くじは紙クズを買うようなものであるのだが。

 その紙クズが偶然、金銭的価値が発生するために「宝」である。


 賭博は金銭の無意味な浪費である。