古本 | 抑鬱亭日乗

抑鬱亭日乗

複数の精神疾患を抱える者の独言を忌憚なく収録する
傾いた視線からこの世はどのように見えるのか

 ぶらりと古本屋へ入る。

 購買意欲は無い。目的の本があるわけでもない。


 1冊100円のコーナーへ。

 変色した古い岩波新書が並んでいる。絶版のものばかり。

 出版された時代と現代に埋め難い差異があるので、売れないようだ。


 ある一冊を手に取る。

 丸山静雄『インパール作戦従軍記』(岩波新書、1984年)。


 最初の所有がは出版された年に購入した形跡が確認できる。

 「吉岡」さん。1984年の7月に入手したらしい。蔵書印と書き込みから判別できる。

 吉岡さんは多忙な御仁であったのだろう。購入したままの状態で店に並んでいる。

 遺族が蔵書を現金化したのだろうか。


 何かを感じ、これを購入。

 吉岡さんの代わりに小生が読んでいる。


 古本屋を訪れると、見ず知らずの人と交流できたような感覚に陥る。