日日是好日
禅語と言われている。
このブログの題名 日日是禅密 は 日日是好日 を拝借している。
今回のブログの題名の、日日是好日 は禅語で言う 日日是好日 の事ではない。
映画の 日日是好日 の事である。
主演 黒木華 そして準主役と呼んでいいだろう 樹木希林 で日常の生活が淡々と語られていく映画である。
一般の人が以外にそうであるように、黒木華にも、これと言った目標も無く、これと言った楽しみ、趣味もなく、日々がただ、いたずらに過ぎていく。
そんな中で、ひょんな事で 樹木希林 から、茶道を習う事になる。
茶道の稽古は、日常とは全く違った、非日常の世界、堅苦しい型の世界である。
その各々の動作に何の意味があるのか、そんな疑問を持ちながら、果たして自分が お茶 が好きなのか 嫌い なのかも分からないまま時間が過ぎていく。
当然、単純に考えて、お茶より楽しい事は世の中には沢山ある。
いろんな誘惑に誘われるが、黒木華は何故かギリギリのところで踏みとどまり お茶 を選択する。
黒木華は就職にも失敗し、婚約者にも裏切られる、そしていたずらに歳を重ねていき色んな意味で焦りを感じていく。
しかし、しかし、好きか、嫌いかも分からないお茶を続ける。
日々の中には苦しい事もある、どちらかと言えば鬱屈した日の方が多いのだろう。
そういった意味では 日々好日 と言うのは、普段の生活の中にはとても少ないのだろう。
しかし、日々、お茶のお稽古を続ける事で、自分の感覚が変わっていく。
お茶を始めたばかりの頃は、所作に気を使い、動作も非常にぎこちなかったが、やがて所作も流れるように、何も考えなくても自然にできるようになっていた。
そうなった時、季節により、湯の立てる音、水の立てる音が異なっている事に気づく。
雨の日の雨音も、季節のより同じでないことに気づく。
自分が日常だと思っていた世界の外に、豊かな世界が同時に存在していた事に気づいていく。
日々の辛くて鬱屈しただけの世界だと思っていたが、自分が気づかなかっただけで豊かな世界の存在を お茶 を通して気づいていく。
そして最後に 樹木希林 が教える事で教わることがあるのよ という教えで映画は終わっていく。
非常に淡々とメリハリの無い映画だが、引き込まれるように見入った。
今回2回目だと思うが、以前、観た時よりは、より繊細な感覚で映画を観ることができた。
どう表現して良いかは分からないが、とても好きな映画だ。
いろいろ観ていると、言葉では無く感じるものが多い。
多分、禅密気功を嗜んでいなかったら、ここまでいろんな事は感じなかっただろう。
この映画で言いたい事は、言葉で言い表せる世界観ではないだろう。
世の中には、自分たちが思っているだけの感覚、価値観だけではない世界があります。
自分達の見ている世界はほんの僅かです。
そんな事を感じさせてくれるだけでも、この映画は観る価値があるのではないかと思います。
個人的には、この映画を今後も観ていくのだろう思います。
その時は、今の感想とはまた違った感想になるのだろうと思います。
それほど、取り上げられた映画では無いと思いますが、観る人によっては非常に印象深く、心に沁みる映画だと思います。
興味のある方は是非どうぞ。