不動産の税金 | 川口市 草加市の税理士/相続税・遺言・成年後見ブログ 

不動産の税金

1.不動産の税金のあらまし 

下記ポイントにより税金、減税制度が違う
1. 取得したのは、消費者か事業者(個人事業者、法人)か
2. 金銭による取得か 相続・贈与による取得か
3. 不動産により 果実(所得)を得たか
4. 売却したのは 消費者か事業者か
5. 売却したのは 住居か それ以外か
6. 売却不動産は いつどのように取得したか


不動産を取得した場合の税金
1. 不動産を相続、贈与により取得した場合 取得した消費者、個人事業者は相続税、贈与税を払う(詳細後述)
2. 不動産を金銭により取得した場合 取得した消費者、個人事業者、法人は不動産取得税、消費税を払う(詳細後述)ほか 登録免許税、印紙税も必要
3. 不動産を所有している場合 固定資産税、都市計画税を払う


不動産から果実をえる事業者(個人事業者、法人)の税金
1. 個人事業者は 不動産の果実(所得)に対して所得税、住民税、事業税、消費税(詳細後述)を払う
2. 法人は 不動産の果実に対して法人税、住民税、事業税、消費税を払う


不動産を売却した場合の税金
1. 売却益に対して 所得税、住民税を払い、売却対価に対して消費税を払う


2. 不動産を金銭により取得した場合

個人(消費者、個人事業者)、法人が取得した場合
1. 対価が1億円(土地7千万円 建物3千万円)の場合、不動産取得税(=固定資産税評価×3%)は概算200万円(住宅や新築・中古に特例計算あり)
2. 固定資産税評価額は、対価と異なり、法令により計算された価額(時価の6~7割と言われている)
3. 取得日から30日以内に都道府県へ不動産取得税申告書を提出(売買契約書、登記簿謄本添付)
4. 税計算は都道府県が行い、通知書が取得者に送られる
5. その他、取得者は 売却者に 消費税150万円(=建物対価×5%)を払う


法人、個人事業者が取得した場合(課税売上事業)
1. 法人、個人事業者が消費税の課税事業者の場合 払った消費税150万円を 事業により預かった消費税から控除できる(預かった消費税が100万円なら 50万円還付できる)
2. 法人、個人事業者が消費税の免税事業者の場合 届出により、課税事業者を選択することにより 上記還付を受けることができる(提出期限、翌年の消費税課税など慎重に専門家と話合いながら 判断すること)


消費者が取得した場合
1. 売却者が預かった消費税(消費者が払った消費税)は売却者が  国に納付する



3.不動産を相続・贈与により取得した場合   

個人(消費者、個人事業者)が相続により取得した場合
1. 事業用土地、住居用土地は 一定面積以下 について 相続税評価を50~80%減らせる評価減制度あり
2. 配偶者が取得した財産価格が、1.6億円(また総財産×法定割合)まで 相続税は課税されない減税制度あり
3. 相続税評価は 法令により計算した価額であり、前記の不動産取得税計算における固定資産税評価と異なる(時価の7~8割と言われている)


事業用不動産の相続の場合 消費税課税に要注意
1. 被相続人の過去の消費税申告書、届出書を用意し、相続人に、消費税の納税義務があるか、ある場合 どの方法が消費税納税有利か 専門家にすぐ相談
2. 準確定申告を、相続人自ら作成するケースは要注意


個人(消費者、個人事業者)が贈与により取得した場合
1. 暦年贈与制度(相続税評価額-110万円)×税率
2. 婚姻20年以上の配偶者から住宅を取得した場合、(相続税評価-2110万円)×税率の贈与税を払う
3. 一定の親から不動産を取得した場合、(相続税評価額-2500万円)×20%の贈与税を払い、親の相続時に 課税精算(相続財産に加算し、贈与税を控除)


法人が贈与により取得した場合
1. 受贈益として 法人税、住民税、事業税課税(他の損益と通産)


4.不動産に居住する場合

固定資産税・都市計画税を市町村へ払う 
1. 1月1日に不動産を所有している個人、法人は その年の4月から1年分の固定資産税、都市計画税を払う
2. 固定資産税評価額×概算1.7%の納税通知書が5月頃届く(申告は不要)
3. 住宅土地については 2/3以上の固定資産評価減特例があり、新築住宅については 1/2の固定資産税減税などがある(一定床面積まで、3年間、新築住宅の固定資産税を減免する市町村もある)


住宅ローン控除を年末調整(確定申告)で受ける
1. ローンを利用して、住宅を取得した場合(新築、中古問わず)、ローン残×1%(居住年、控除期間により逓減)の所得税を 上限50万円(居住年、控除期間により異なる)控除できる
2. 一定のバリアフリー工事、省エネ設備にも控除制度あり
3. 所得金額が3千万円以下である個人が 金融機関から10年以上の約定返済による場合のみ
4. 19年から 控除税率1%(7年目から0.5%)を10年受けるか、控除税率0.6%(11年目から0.4%)を15年受けるか選択可
5. 初年度は確定申告により、2年目以降は年末調整により控除可
6. 年末調整で源泉徴収票上の源泉所得税が0の場合、市町村に確定申告を提出することで 住民税が減額する余地あり


5.個人が不動産を賃貸する場合 

所得税・住民税を確定申告により払う
1. 不動産所得(=収入-経費)は、給与や年金、事業などの一定所得と合計する(所得金額という)
2. 不動産所得が赤字の場合 所得金額をマイナス(損益通算という)し、所得税、住民税が減る
3. 所得金額から 医療費控除、扶養控除など一定控除を引いた金額に 一定税率(概算15%~50%)を乗じて所得税、住民税を計算
4. 上記所得税、住民税から住宅ローン控除などの一定控除をした金額を払う
5. 不動産収入と不動産経費の把握が節税ポイント


不動産収入と不動産経費(詳細後述)の範囲
1. 不動産収入は 権利金、更新料、礼金を含む(平均課税という方法により 節税余地があるので要注意)
2. 不動産経費は 固定資産税、修繕費(リフォーム代、クリーニング代)、不動産管理会社への管理費・広告費、損害保険料、借入利息、損害保険料、減価償却費など
3. 固定資産税は賃貸不動産に係る部分のみ
4. 修繕費は現状回復費(価値の増加、使用年数の長期化させる修繕費は資産計上し、減価償却により経費化)
  
不動産経費になる消費税と事業税
1. 事務所、倉庫として賃貸する場合 消費税の課税対象(納税義務があるかどうかは 2年前の課税売上による)
2. 住宅10戸以上などの場合 事業税課税


6.不動産賃貸に係る経費の注意点 

事業に直接関連性のあるもが経費
1. 個人が事業のために払った費用は、原則 経費になり、事業と家計の区別ができない費用は経費にならない
2. 交際費、会議費などは事業の明確性が必要
3. 事業用と家計用の通帳を分ける、事業用金庫により小口現金を管理するなど 事業としての管理が必要


青色申告65万円控除を受けるには
1. 一定規模の不動産賃貸を行い、日々の取引を複式簿記で行っている場合 65万円の概算経費が計上できる
2. 一定規模とは、貸間・アパートなら10室、一戸建てなら5棟が目安になる(それ以下でも検討余地あり)
4. 簿記の知識がない場合でも 会計ソフトにより 事業用の現金預金を出納帳入力すれば、複式簿記になる
5. 経費を集計しただけでは、65万円控除は受けられないが、青色申告申請をしていれば 10万円控除可


不動産所得が赤字となった場合
1. 退去時リフォーム代など大型修繕支払があった場合 現状維持、改修の範囲であれば 経費であり、不動産所得が赤字になるケースも多い
2. 他の所得との損益通算により 減税効果があるが、不動産所得赤字のうち、土地取得に係る借入利子は 損益通算対象外となる
3. 青色申告申請をしていれば 不動産所得の赤字を 翌年から3年間の所得から控除できる 


7.個人が不動産を譲渡した場合 

不動産を譲渡する前に、専門家や税務署に相談
1. どの特例を使えるのか(高所得者には使えない特例あり)、消費税の納税はあるのかがポイント
2. 譲渡対価から 購入価額(または譲渡対価の5%)と仲介手数料、測量費、取壊費、立退料など譲渡のために要した経費を 控除した金額(譲渡所得金額という)の20%の所得税・住民税を払う
3. 取得から 譲渡年の1/1までの期間が5年以下の場合 39%の所得税・住民税を払う


自宅(土地・建物)を譲渡した場合の特例
1. 譲渡所得金額がプラスの場合、3千万円控除できる
2. 取得から 譲渡年の1/1までの期間が10年超の場合、譲渡所得金額から3千万円を控除した金額(6千万円まで)の14%の所得税・住民税を払う
3. 自宅を譲渡し、新しい自宅を購入した場合 譲渡所得金額がプラスでも課税しない特例がある
4. 5年超所有した自宅を譲渡し、新しい自宅を住宅ローンで購入した場合 譲渡所得金額のマイナスを 給与など他の所得と通算し、翌年以降に繰り越せる
5. 5年超所有した自宅(住宅ローンが残っている)を譲渡した場合 譲渡所得金額のマイナスを 他の所得と通算し、翌年以降に繰り越せる


国や都市再生機構、都市計画法の開発許可などによる土地等の譲渡にも 特例あり