令和7年度の改正大綱では、中小企業経営強化税制において一定の要件を満たす場合には「建物および附属設備」も特別償却又は税額控除の対象なることが示されました。
現行では機械装置などの償却資産が主な対象資産とされていた同税制で、建物及び付属設備も対象になったのは大きなインパクトがあります。
ただ、適用の要件には前事業年度の売上が10億円超90億円未満の項目もあり、設備投資を予定している企業の全てが対象になるわけではありませんが、同税制の適用を受けられるのに受かられなかったということがあれば顧問税理士にとっては信用問題に発展するばかりか、訴訟すら起きかねない問題かと思います。
なお、機械装置等とは異なり、建物および附属設備の場合には即時償却ではなく15%~25%の特別償却、1%~2%の税額控除の選択になるようです。
さて、そもそも同制度では①即時償却②税額控除のいずれかの選択になり、納税者の選択に委ねられています。
どちらが有利かどうかは考え方次第です。
まず、即時償却を選ぶと、資産全額を損金算入できるので、その年度の納税額を少なくすることができます。
固定資産を購入する年度は資金が多額に必要になるので、資金繰りの面で助かります。
ただし、即時償却は減価償却の前倒しなので、長期的に見れば節税効果はありません。
一方、税額控除の場合には通常の減価償却費の計上を行え、かつ、固定資産の取得価額の7~10%を税額から控除することができるので、即時償却とは異なり長期的に節税になります。
しかし、その年度の法人税額の20%が限度であること、また控除できなかった部分は翌事業年度までしか繰り越せないので、控除しきれないリスクもあります。
どちらかが必ず得するというわけではなく、支払う税額と固定資産の取得価額により、シュミレーションを行い選択を判断する必要があります。
設備投資などお困りの際はお気軽に当税理士法人までご相談下さい。
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