試合には当然ながら勝者がいて敗者がいる。
力を尽くした戦いが済めばノーサイドでそこに居るのは勝者も敗者もないスポーツに打ち込む仲間同士だ。
しばしばラグビーでは、あのチームは潔ぎよく負けを認める「グッドルーザー(良き敗者)」だと話題になる。
・・敗者は勝者の栄誉を称え、勝者は敗者の健闘を称える・・
この光景を目にした観客はスポーツの清々しさを味わい、次は頑張れよー!と敗者に声援を送りたくなる。
パリオリンピックはいよいよ残すところあと数日となった。
我が国選手の健闘についつい夜更かしをしてしまう。
私は柔道が好きだ、豪快な投技での一本勝ちは大きな魅力だが、一方で延長戦での両者の死闘も見応えがある。
過去、柔道で金確実と言われながら敗れた選手は何人もいた。
忘れられないのは、シドニーオリンピック(1900年)で誤審で敗れた篠原信一選手のグッドルーザー(良き敗者)振りだった。
試合後のインタビューで
「自分が弱かったから負けた」
とだけ述べ、言い訳がましい事、悔しそうな素振りなど無く、ましてや誤審だとか一切触れ無かった。
人は窮地の時、本性が出ると言われる、篠原選手の人間性が良く出たインタビューだった。
勝って驕らず・・初戦で金を獲得した角田夏美選手とその後やはり金を獲得した永瀬貴規選手は試合場を下りるまで敗者への配慮か、喜びを自制していた様に見えた。
まさに「グッドウィナー」(良き勝者)だった。
スポーツ好きの私は、試合後「グッドルーザー」と「グッドウィナー」を目にするのがもう一つの楽しみになっている。
by 薫風