堂島物語[六] 出世篇 | 雑読日記

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読んだ本の感想など

この記事の続きです。

→ 堂島物語[五] 漆黒篇


富樫倫太郎「堂島物語」文庫版第六巻です。

基本的な印象は、前回書いた通りのまま

結局最後まで変わりませんでした。

どうにも、万吉は吉左の焼き直しのように思えます。


さて、十四歳という、丁稚としては高齢で

川越屋へ方向に上がった万吉でしたが

とうぜんのように先輩丁稚・手代と対立します。


理不尽な体罰やいやがらせを受ける中で

彼はそれに反発し、また丁稚としての分を超えて

米取引への野心をあらわにすることで

さらに立場を危うくしていきます。


中番頭・島之助に才を認められて、

少し環境が改善されたのもつかの間

逆にそれが災いして川越屋を辞めることにもなります。


このあたりのストーリー展開も、小道具は替えてありますが

どこかで聞いたことあるような、ないような。

まったく別作品であればそれほど気になりませんが

同じタイトルの中で繰り返されるのはちょっと……。


話そのものは面白いので

あまり目くじら立てなくても良いのかもしれませんが

第四巻までに比べて熱中できなかったのは

その辺に引っ掛かったからだと思います。


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