この記事の続きです。
富樫倫太郎「堂島物語」文庫版第六巻です。
基本的な印象は、前回書いた通りのまま
結局最後まで変わりませんでした。
どうにも、万吉は吉左の焼き直しのように思えます。
さて、十四歳という、丁稚としては高齢で
川越屋へ方向に上がった万吉でしたが
とうぜんのように先輩丁稚・手代と対立します。
理不尽な体罰やいやがらせを受ける中で
彼はそれに反発し、また丁稚としての分を超えて
米取引への野心をあらわにすることで
さらに立場を危うくしていきます。
中番頭・島之助に才を認められて、
少し環境が改善されたのもつかの間
逆にそれが災いして川越屋を辞めることにもなります。
このあたりのストーリー展開も、小道具は替えてありますが
どこかで聞いたことあるような、ないような。
まったく別作品であればそれほど気になりませんが
同じタイトルの中で繰り返されるのはちょっと……。
話そのものは面白いので
あまり目くじら立てなくても良いのかもしれませんが
第四巻までに比べて熱中できなかったのは
その辺に引っ掛かったからだと思います。
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