正直申し上げて、なぜ好きなのかが説明できない。
不思議な作家と言いますか、きっと私が不思議な
読み方をしているんだと思います。
これまで長編ばかり書かれていましたので、
今回が初の短編集ということになります。
表題作「ビザール・ラヴ・トライアングル」を含む
五編の短編が収められていますが、
もっとも好みなのは「向日葵の迷路」でしょうか。
非常にベタな内容で、「かつて死んだ母に似ている人に会った」
と書けば、勘の良い方はオチが分かってしまうかと思います。
しかし、ベタネタ大好きな私にはストライクゾーンでした。
浅倉氏の小説は、たいてい不可思議な出来事が
語られることが多く、またその明快な説明もなされません。
しかしながら、その「仕掛け」は特別たいした意味を持ってなくって、
哀しいことや辛いことの多い現実だけど、
カーテン一枚分だけ光を避けてみたら、そんなに悪くないんじゃないの?
という雰囲気を出すための小道具のように思えます。
そんな空気感が、私は好きなのかもしれません。
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