日本経済の再生策は、以下の三点を前提にして考えねばならない。


第一に、短期間に本格的な再生は望み難いということである。二、三年の期間であれば「景気回復感」が出ることもあろう。逆に、さらなる「落ち込み」もあり得よう。


しかし、成長率の如何を問わず、雇用の安定と継続的な技術革新にリードされた活力ある産業活動が回復するには、少なくとも五年程度の構造転換を経なければ心るまい。


第二に、再生策は、高齢化、人口増、資源、環境など地球規模の難題を視野に入れたものを基本とする。排他的に自国市場を保護したり、自国企業の収益確保のみのため他国への飢餓輸出に走るようなことは、日本ほどに高い技術と大きな規模の経済を持つ国には、もはや許されない。また、底の深い不況の突破口とはなり得ないからである。


第三に、「策」といっても、政治ないし政府に補助金などのおねだりはしない。政府に求めるのは逆に「余計な介入はしない、やめる」ことである。この原則のうえで、以下に提起するような社会・経済システムの改革を大急ぎで進めるためのルールづくりと障害の除去を、政府にさせねばならない。