世界的な金融市場の混乱が徐々に収束に向かいつつある中、昨日ムボウエニ・南ア中銀総裁は
大学生を前にした講演で南ア経済と金融政策について講演。 引き続き同国のインフレに警鐘を
与えた。
ムボウエニ総裁は、「 一般的な諸物価は上昇傾向にある。 仮に食品とエネルギー価格を除いて
考えても、南アのインフレは中銀ターゲット以上の水準にある。 中銀当局は高騰する食品と
エネルギー価格に対してその対策を講ずる手段を持っていないが、我々はインフレをターゲット・
レンジ内に収めるのが役目であり、金利操作はインフレを弱める手段となる 」 と述べ、
インフレはまだ高止まりしており、目標レンジ内に誘導する必要性を述べた。
また同総裁は、「食品価格を除く南アのインフレは、2008年末まで中銀ターゲットを上回るであろう。
南アの持続可能な潜在的成長率は 4.5 % に対し、すでに 5.0 % の成長を遂げており、広範囲に
渡ったインフレ圧力が存在している。 それを防ぐ一つの特効薬は “ 金利 “ である 」 と述べ、
引き続き高止まりが予想される同国インフレ沈静化に対し、再び金利引き上げを示唆した。
さらに今後 18 % の引き上げが予定されている電気料金に対し、「仮に引き上げが決定された場合、
我々は利上げで対処しなければならない。 高度成長が慢性的な電力不足を招いている 」と述べ、
大幅な電気料金の引き上げを牽制し、利上げで対処すると明確に述べている。
市場では同国インフレ (CPIX) は、来年第 1四半期にピークを迎え、6.9 % ~ 7.0 % の
水準にまで到達すると予測している。 このレンジは同中銀のインフレ・ターゲット上限である
+ 6.0 % を大幅に上回ることとなり、上記ムボウエニ総裁のコメントから想像出来ことは、
10月 11日に開催される南ア中銀 政策決定会合で、更なる政策金利の引き上げが実施される
可能性が高いように思われる。
昨日の JIBER 南ア短期金利市場引け値は、
1 Month: 9.967 %
3 month: 10.117 %
6 month: 10.404 %
12 month: 10.925 %
と、 3ヶ月物金利は 10.117 % となり、25 bp の利上げを織り込みつつある。 南ア中銀や
金融市場関係者が予測しているように来年第 1四半期までインフレが上昇していくのを
見越してか、 6ヶ月物は 10.404 %、1年物は 10.925 % と、今後一年間、更なる金利上昇が
続く短期イールド・カーブを形成している。
- to be continued -