さあ、ついに刃牙対勇次郎、地上最強の親子喧嘩が始まります。
本作品のメインテーマですから、かなり大幅に紙面を割いていますね。
集大成ですから、刃牙も色々なものを繰り出してきます。
前述の時速270kmタックルや、トリケラトプス拳等頑張りますが、
ほとんど通用しません。
但し「地上最強の生物」である範馬勇次郎が、
成長した息子を認め、刃牙との戦いを喜ぶ
唯の親バカみたいになってきています。
そしてついに「脳の命令0.5秒前の意識の引き金」という
刃牙シリーズでお馴染みの間隙をぬった攻撃で、
勇次郎をダウン(鼻がチョコット地面に付くだけ)させるんですが、
自分をダウンさせた息子に対し、勇次郎が
「よくやった」「撫でてやる」
と語りかけます。
幼少期から親に甘えたり、優しくされたことなど無い刃牙は
突然の話に戸惑い、反発しながらも涙があふれて止まりません。
刃牙シリーズにはあまり似つかわしくない、展開です。
不覚にも泣きそうになってしまいました。
子供って、客観的にみて、虐げられていたり不遇だったりしても、
以外に平気な様に振舞いますよね。
過去の自分の記憶をたどってみると、
自分をミジメにしない為、自分自身にそうじゃないと思い込ませるというか、
貧乏→だけど別に辛くない。気づかない。
虐待されている→これは躾で、悪いのは自分。
とか、自分の頭の中で、事実の改竄を行っていたことを思い出しました。
その頃は、「大変だね」「よく頑張っているね」「辛くない?」等の
善意の言葉を、到底受け入れることが出来ませんでした。
そりゃそうです。
自分の境遇を客観的に再認識することなど、耐えられませんからね。
刃牙も泣きながら拒否しますが、
そこは格闘マンガ、無理やり撫でるという暴挙に出て、
刃牙に「力とは」「強さとは」を徹底的に思い知らせます。
私もあまり過去を振り返りたくないので、
あまり掘り下げてなくて、ホッとしました。