鬱陶しい雨に気が滅入るが、帰宅後先日届いた「天使のはらわた赤い淫画」(池田敏春監督/1981制作)を鑑賞する。デパートで働く名美(泉じゅん)は、同僚瞳(栗田陽子)からアルバイトの代役を頼まれ、軽い気持ちで行ってみると、それはビニ本モデルの仕事であった。上司と深い仲となり秘密の関係を続けていたが、あるとき名美のビニ本を見た無職でうだつの上がらない村木(阿部雅彦)に付きまとわれる。名美は社内でアルバイトの件がばれて退職に追い込まれる。すべてを失い自暴自棄になった名美の前に村木が現れ思いの丈を訴える。情にほだされた名美は、一度だけ村木のことを信じてみようと思う。名美との約束に心踊る村木であったが、常日頃近所の評判が悪かったことが祟り、向かいの家の女子高生(伊藤京子)が強姦され殺害されたことにより、犯人と間違われて被害者の父親に猟銃で撃たれる。何も知らず約束場所で待つ名美。約束の時刻を過ぎても一向に現れない村木。名美が諦めかけたそのとき、地下鉄の出口階段を昇る村木と視線が合う。微笑む名美、彼女から借りた赤い傘を返そうと掲げる村木。そのとき村木が崩れ落ちる。
映画館で観たときの感動ふたたび。性春スター阿部雅彦の演技に痺れる。
余韻に浸りつつドアーズを聴く。どこか陰があって暗い魅力を放つドアーズは、私の青春期のベスト5に入るバンドである。