首をかしげる女性リーダー2人の“代理戦争” | 山本洋一ブログ とことん正論

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元日経新聞記者が政治、経済問題の裏側を解説!

 投票が一ヶ月後に迫った米大統領選。先日行われたクリントン候補とトランプ候補の討論会は非難合戦となり、日本のメディアもこぞって「史上最悪」と報じました。ただ、現在日本で行われている国政選挙も非常に低レベル。他国の悪口を言っている前に、自分たちの足元をしっかり見つめる必要があります。

 

 小池百合子氏の都知事転身に伴い、11日から始まった衆院東京10区補欠選挙。今朝のニュースを見ていたら、さっそく自民党の若狭勝候補を推す小池知事、そして民進党の鈴木庸介候補を推す蓮舫代表の演説が繰り返し流れていました。

 

 小池氏は元検事の若狭氏について「後継者としてこの10区を守っていただき、区民の皆様方のいろんなご要望に、特に法曹界出身ですから、離婚相談、相続税相談、私ができなかったことをちゃんとやっていただく」と強調。蓮舫氏は鈴木氏が地元出身、若狭氏が足立区出身であることを意識して「鈴木氏は豊島に生まれ育ち、何としても国をよくしたいという思いで手を挙げてくれた」と持ち上げました。

 

 あれ、これって国政選挙?2人の演説を聞いて、私は強い違和感を覚えました。地元選出議員として地元有権者の声を聞くことは非常に重要ですが、離婚相談や相続相談に乗るのが国会議員の仕事でしょうか。有権者の声を踏まえ、法律をより良くするのが立法府の一員たる国会議員の仕事ではないでしょうか。

 

 豊島区出身であることをことさら強調する蓮舫氏も同様。「全国民の代表」である国会議員が、なぜ地元出身でなければならないのでしょうか。東京出身でないのならまだしも、東京10区選出の議員が豊島区出身か、足立区出身かで何が違うのでしょうか。地元出身の方が「利益誘導を頑張る」とでもいうのでしょうか。

 

 それよりも、もっと国政の政策テーマを深く掘り下げ、わかりやすい争点を作って有権者に問いかけるべきでしょう。アベノミクスをどうするのか、原発をどうするのか、安保政策をどうするのか。そして憲法は改正すべきなのかどうか。

 

 日本のメディアもメディア。米大統領候補をバカにする暇があったら、日本の政治をもっとまじめに取り上げるべきです。「女性リーダーの代理戦争」なんて上っ面のニュースを流す前に、どうすれば日本の政治が良くなるか考え、提言すべきです。

 

朝から晩まで似たようなニュース映像を垂れ流し、政治の本質を知らないお笑い芸人にコメントさせる。そんな番組ばかり見させられたら、国民だって政治の上っ面しか見なくなって当然です。人の振り見て我が振り直せ、です。