古賀班の1号事案は、架空外注費と架空人件費の多額の不正計算を把握し、修正申告書の提出を受け、重加算税を賦課して調査を終了した。

 

修正申告書は、調査を受け当初申告(確定申告)の誤りを認めて提出するものを指導修正といい、調査に関係なく当初申告後に税額が増加する誤りに気付いて提出するものを自主修正という。また、税額が減少する誤りであれば更正の請求をすることになる。

 

 

 

自主修正には加算税の賦課は無いが、指導修正の場合には、当初申告と修正申告との差額の税額に過少申告加算税(10%)もしくは重加算税(35%)が賦課される。

 

過少申告加算税は、単純な計算や集計誤りなどのうっかりミスや税法の適用・解釈誤りなど、税金逃れを意図していない場合のもので、重加算税は、税金逃れを意図して隠ぺいや仮装など細工を行っていた場合に賦課される。

 

税務調査で誤りがあれば、その内容を納税者に説明して修正申告の提出を求めることになるが、提出を拒めば、税務署側は更正処分を行うことになる。

 

 この更正処分はかなり面倒くさく、のちの裁判を想定して作成するので、課税の理由を一つ一つ細かく記載しなければならない。しかも担当者のあと2重3重のチェックが入るため、手書きの時代は書き直しになれば、全身の力が抜けるほどがっかりしていた。

 

 納税者は更正処分に不服があれば、税務署長に対して異議を申し立てる。

この場合、別の担当者が調査を行い、異議申し立ての却下もしくは更正処分の取り消しとなる。

 

異議申し立てを却下され、それでも不服があれば、国税不服審判所に不服申し立てを行う。

ここでも審判所の職員が調査を行い、却下もしくは取り消しの判断を行う。

 

 さらにここでも不服があれば、裁判所の判断を仰ぐことになる。

 

令 和 2事 務 年 度 法 人 税 等 の調 査 事 績 の概 要(発表資料:令和3年11月)

01.  pdf (nta.go.jp)(国税庁HP)

 

この資料を見ると、8ページの不正発見割合が21.6%となっている。

調査を受けた21.6%の法人で不正計算を行っていたということであり、重加算税を賦課された企業の割合で、世間でいうところの脱税企業である。

 

 ただし、国税の職場で脱税という言葉は使われることはないし、各税法にもそのような言葉はない。不正がいくらとか重加対象がいくらとか言う。(査察では犯則事件という。)

 

 国税局の査察部門は、3年間で課税所得が1億円以上の者を検察に告発するが、7年で1億円とか3年で5千万円とかは告発しない。(あくまでも所得金額

 

(脱税の報道があったら気を付けてみてください。)

 

 

 

 藤岡班の2号事案は、中古自動車販売業であったが、これも多額の不正計算を把握し、何の問題もなく調査を終了した。

 

 鈴木が率いる特調班は、職員の頑張りでその後も順調に処理し、不正発見割合100%を維持したまま年末を迎えた。