今回はこちら。
2007年 シボレー コルベット C6 Z06。
以前からキーフォブ関係の不具合でお預かりしている車両です。
C6コルベットは普通のキーシリンダーでエンジンを掛ける車ではなく、キーフォブを車両が認識して始動する イモビライザースマートエントリーシステム。
最初の症状
車両を確認したところ、キーフォブを認識しない。予備のキーフォブでも同じ。
グローブボックス内にあるバックアップポケットへ入れても始動出来ません。
メーターには、いわゆる「NO FOB」の表示。
まず当然、キーフォブ側なのか車両側なのかを切り分けていきます。
ただ、今回はキーフォブ2個とも同じ症状。ここで既に、「キーそのものだけの問題ではなさそうだな」という感じです。
バッテリーも確認
この車両は以前にも似たような症状があり、その際にはバッテリーも交換しています。
今回測定すると12.2V程度。テスターでは「要充電」。
まずは基本からということで、車両バッテリーを外して充電しました。翌日、バッテリーを戻して確認。すると一時的に車両が反応。警報が鳴り、ドアも開き、エンジンも始動出来ました。
「お? バッテリーだった?」と思いたくなるところですが、こういう時ほど安心できないパターンですよねwww
そして閉じ込められる


エンジンを掛けて車内で色々確認。その後ドアを開けようとすると、開かない。
室内側のドアスイッチを押しても無反応。C6は電気式ドアラッチなので、電気的に開かなくなると普通には出られません。ということで、まさかの車内に閉じ込められました(笑)
もちろんC6には緊急用のメカニカルレバーがあるので、それを使って脱出。
C6乗りの皆さん! あのレバーの場所は覚えておいた方がいいです(爆)
症状が一定ではない
さらに厄介なのが、症状がずっと同じではないこと。
ある時は、
- キーフォブを認識しない
- ドアが開かない
- IG ONにならない
- 診断機とも通信出来ない
ところが別のタイミングでは、
- ドアが開く
- キーフォブを認識する
- エンジンも始動する
そしてまた動かなくなる。こういう間欠故障が一番面倒です。完全に壊れてくれた方が、実は故障診断は楽だったりしますよね💦
キーフォブを認識させてみる
バックアップポケットを使いながら、2本のキーフォブを交互に確認。
何度か操作しているうちに、ドア操作が復帰。エンジンも始動。セキュリティ表示も正常に戻りました。
ただし、「直った」とは思っていません。なぜなら原因が何も分かっていないからです。
一度正常になった。それだけです。ここで車を返してしまえば、また同じ症状が出る可能性があります。
DTCがない
診断機でも確認しましたが、今回の症状を直接説明出来るようなDTCは残っていません。
フリーズフレームもなし。となると、エラーコードを見て「〇〇交換ですね」という診断は出来ません。 ここからはシステムそのものを考えます。
そもそもどいつがキーフォブを見ているのか?
C6でキーフォブの電波を受け取り、車両側へ伝えているのが、
RCDLR
Remote Control Door Lock Receiver です。
キーフォブの認識だけでなく、ドアロックやTPMSなどにも関わっているモジュールです。
今回の症状を並べてみると、キーフォブ2個とも認識しない。バックアップポケットでも認識しない。ドア操作も効かない。セキュリティ系の動作もおかしい。そして時々全部復活するw
となると、だんだんキーフォブそのものより、車両側の受信・制御系が怪しくなってきます。
RCDLRが起きていない?
今回、自分が一番疑ったのがここでした。RCDLRが正常にWakeしていないのではないか。
つまり完全に壊れて通信出来ないというより、電源投入や起動のどこかで不安定になっている可能性です。
当然、
- RCDLR本体
- 常時電源
- アース
- コネクター
- 車両ネットワーク
など、確認すべきところはいくつかあります。
特にこういう間欠故障では、電源やGNDは外せませんのでもちろん確認済み
ただし部品が簡単に手に入らない
ここでC6ならではの問題。RCDLRは既に簡単に新品交換出来る状況ではありません。
さらに交換した場合には、単純に部品を付け替えて終了というものでもなく、ステアリングロックの同時交換と車両側へのプログラミングや登録作業が必要になります。
つまり、「怪しいから試しに交換してみよう」が簡単に出来ません。
しかも今回の車両は、自分のところにC6専用のプログラミング環境があるわけでもありません。
どこまで追うか
ここで判断しました。
今回Y&Yで出来るところまでの切り分けとしては、キーフォブ単体ではなく、車両側。
その中でもRCDLR系がかなり怪しい。ここまで。
もちろんRCDLRを外して基板まで追ったり、電源を完全に追い込むことも出来ます。
ただ、最終的に交換やプログラミングが必要になった場合、結局メーカー系の設備が必要になります。だったら、自分のところで中途半端に分解を進めるより、この段階で設備を持っているところへ引き継ぐ方がいい。
そう判断しました。
「直す」だけが故障診断ではない
修理屋なので、出来れば自分のところで直して返したい。当然そう思います。
でも、
原因が分からないまま部品を交換することと、
原因範囲を絞った上で、必要な設備を持つところへ渡すこと。
これは全く違います。
今回、自分の中では
RCDLR系まで疑いを絞ったところで一旦終了。
シボレーディーラーさんへ改めてお願いすることになりました。
そして現在
ここから先は、まだ結果が出ていません。
RCDLRなのか。
電源系なのか。
それとも別のところなのか。
最終的に何が原因だったのかは、結果が分かり次第追記したいと思います。
ただひとつ今回よく分かったのは、
「コルベットのドア開かなくなった時の緊急レバーは、飾りではないという事(爆)」
危うく自分の会社でコルベットに監禁されるところでした。
続く。
