★「ヒッタイト」(ハッティ)について最初から考察する | ■朽ち果てた館■

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ARIONの預言解読──音楽に載せて

ヒエログリフは、「イデオグラム」(≒表意文字)と「フォノグラム」(≒表音文字)に、大別される。

上代の漢字用法と似ていて、一つの文字が、前者としても用いられ、後者としても用いられる。

さらに、前者は、いわゆる「限定符」として用いられる場合も多い。上代の漢字用法においては、

限定符と見られるものは少ない。古事記の「和迩魚」や「入鹿魚」の「」が、これに当たるはず。

また、後者は、朝鮮半島の吏読に見られるような「音声補助」として用いられることが少なくない。

日本における「音声補助」の万葉仮名は、私は、見たことがない。いわゆる宣命体は用法が違う。

このほか、「」は、「それ自体」というような意味で、「イデオグラム」に添えられる。限定する意だ。

 

#ちなみに…「入鹿」(イルカ)において、「」(イル)と「鹿」()は、(※「イルカ」()は「西」を含意)

#それぞれ、二音節を担う訓仮名、一音節を担う訓仮名、であって, (※「借訓表記」とも言う)

#主に「フォノグラム」として機能している。ところが、「」の文字は、

#それ自体が「西」を含意する。つまり、表意兼帯の訓仮名、である。

#「鹿」()も、ここでは表意兼帯…しかし、その説明は今回は省略。

 

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さて、漢字の「」に似た形のヒエログリフは、この一文字に、末尾の音声を示す「t」,

および、上述の「」が添えられ、「ḫՅst」と読まれる。「Յ」は「アレフ」に当たる文字だ。

ḫՅst」は、子音対なので、母音を補って読まなければならない。しかし、母音は不明。

音声補助の文字が、同時に意味を補助している場合も有り、此処では、補助の「t」は、

」()を表すかもしれない。意味が、「山岳の国, 外国, 砂漠」、と載っているからだ。

 

この「」に似た形のヒエログリフは、「外国」を意味する。こういう訳で、限定符として,

様々な国名の後ろに付けられる(ことが多い)。例えば、「ヒッタイト」(ハッティ)の場合、

フォノグラムの「ḫt」だけでなく、綴りの最後(つまり一番右)に、この限定符が置かれる。

そこで、今回の問題。上述の「ḫt」と「」(外国)の間に挟まれた残りの二文字は、何か。

その二文字とは、ガーディナーのサインリストの「U30」(?)と「G4」(鳥のノスリ)、である。

 

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ひとつ気づかれることがある。西村洋子『古代エジプト語 基本単語集』において,

U30」が用いられる単語(5つ)が拾われている。その5つの単語について言えば、

全てにおいて、「U30」の後ろに「G4」を伴っている…これは、偶然では有り得ない。

 

 ・「G4」(ノスリ)は、三子音文字の「tyw」として用いられる。

 ・おそらく「tyw」という語の意味もあるはずだが、それは調査中。

 ・日本の「」(ノスリ)は、「」のように使えないため、「クソトビ」と呼ばれた。

 ・つまり、日本では、「」(ノスリ)は、「」(トビ)の一種と捉えられたいた。

 ・【DY十A】(527)や【DYW】(dēw32)に注目すべきか。

 

とにかく、ヒエログリフの「U30」と「G4」は、必然性が有って、共存している。だから,

当該二文字が共存する意味合いを捉えるべきだ。それには、もう少し時間が必要。

どちらにせよ、「ḫt」(ハッティ)は、「ḫt」(timber)か「ḫt」(fire)か、「ḫt」(, )だろう。