この年を越せないかと言われたそうです。
自宅から再び病院に。
でももう医師ができるものは何もないとの宣告。
ただ自宅では何も食べられなくなったため、
再び入院。
自宅よりかは顔色もやや良くなったとのこと。
私の顔が分かるか、
こんな時期に見舞いも考えましたが
ぜひ命のある間に見てほしいと言われ
今日病院に行ってきました。
年賀状を家族がまず本人に渡しました。
すると眼鏡をかけて、
1枚ずつ確認しています。
震える手で確認しています。
中学で教えた生徒が立派になって
大学で教えているとか、近況が書かれています。
「この人は毎年年賀状をくれているね」
教え子の出世は嬉しいものです。
次に私のことを家族が告げます。
するとはっきり私の方を見てくれました。
そして、手を私の方に出してくれました。
言葉はもう発することはできないようでしたが、
しっかり手を握ってくれました。
私が早期退職してゆずりは学園を始めた時に言ってくれた言葉。
「とても大変ことを始めたね」
「でもよくがんばっている」
「普通の教師ではできないことをよく頑張っている」
「大変なことだけど、無理しないように」
いろいろ褒めてくれた義理の兄でした。
長く校長先生をしていました。
面白い理科の授業をしていたようです。
生徒達からの年賀状は
もう少しで90歳になろうとしています。
点滴だけで命を繋いでいます。
年を越すのも難しいと言われたけれど
命ある今、今は温かい手でがんばれと言われた気がします。
この手に残る温かさを大切なバトンのような気がいます。