『りくべつ 夏』徹底解剖① | 高い城のCharlotteBlue

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書評家アイドル 西田藍さんの、書評を紹介してゆきます。
基本的スタンスとして、書評でとりあげている作品は読んだことがあるとしています。
ネタバレを気にする方はご注意ください。

 さて、明日から二月だ。今年の二月には、西田藍さんが出演する『りくべつ 冬』の撮影が始まるそうだ。
 かなり期待しているのだけれど、その前に、前作『りくべつ 夏』をおさらいしておこうと思う。せっかくだから、この6分47秒の動画を、詳細に解説してみることにした。
 調べたわけじゃないけれど、きっとこれが、日本で一番『りくべつ 夏』を詳しく解説したもの、じゃないかな。少なくとも、陸別町に行ったことがない人間の書くものとしては。

 なお、ネタ元としては、陸別町の作成した「りくべつ 夏 ロケ地MAP」を参考にした。僕はこのMAPが載った陸別町のリーフレット『陸別が好き。vol2』を持っているのだが、ここに掲載された内容は全て陸別町のHPでも公開されている。

 西田さん自身が撮影の様子をブログに書かれているし、ホンシェルジュでも、動画内で読まれている本の紹介をしている。
 あとは陸別町のTwiiterとかで断片的な情報を集めて繋ぎ合わせたものだ。もしかしたら、勘違いしているところもあるかもしれないが……ま、とりあえず書いてみた。


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 さて、では『りくべつ 夏』の各シーンを書き出してみよう。

オープニング
0分00秒 ポントマム(草原に佇む西田藍を遠景からアップ)※1
0分08秒 銀河コテージ(ポーチで本を読む)
0分12秒 炉ばた 俺ん家(ビール)
0分16秒 ふれあいの湯(お湯につかる)
0分18秒 タイトル

0分26秒 ナレーション開始
0分41秒 空撮

道の駅 オーロラタウン93 りくべつ ※2
0分44秒 (歩く姿を牛のオブジェ越しに)
0分52秒 (牛のオブジェに座ってソフトクリームを食べる)

市街地
1分00秒 角を曲がって、しばれくん&つららちゃん登場
1分15秒 撮影風景

1分22秒 自転車 ※3

tomono(カフェ) ※4
1分28秒 tomono(テーブルで本を読む)
1分36秒 ベリーベリーティラミス(お店の方と談笑)

1分54秒 自転車
1分59秒 スーパースローでの顔アップ

銀河の森天文台 ※5
2分03秒 天文台の中を歩く(ナレーション)

ふるさと銀河線りくべつ鉄道 ※6
2分14秒 鉄道運転体験(運転士コスプレ)

2分38秒 自転車

史跡 ユクエピラチャシ跡 ※7
2分43秒 しばれくん&つららちゃん登場(木の根もとで本を読む)
2分55秒 白樺の森(森の中を散策。「ああ、みどり。みどりきみどり、またみどり」)

鹿山草地 ※8
3分07秒 空撮

役場前 ※9
3分16秒 (老夫婦と会話)

3分42秒 空撮

廃屋 ※10
3分46秒 (過疎化問題のナレーション)

役場駐車場
4分01秒 駐車場での撮影風景(地元の子どもたち)
4分10秒 地元の子どもたちと

保健センター ※11
4分14秒 地元の中学生
4分17秒 (女子中学生の制服をスケッチ)

ふれあいの湯 ※12
4分23秒 浴場(お湯につかる・肩から湯をかける)
4分36秒 脱衣所(りくべつ牛乳を飲む)

炉ばた 俺ん家 ※13
4分39秒 (生ビールをジョッキで)
4分52秒 カウンターで地元の方と談笑
5分00秒 P.K.ディックの話

パブ・スナック 未完星 ※14
5分14秒 ステージでカラオケ
5分42秒 乾杯

5分53秒 天文台と星空

銀河の森コテージ村 ※15
5分56秒 寝姿(テーブルの上には『ユービック』)
6分03秒 (ポーチで本を読む)

エンディング ※16
6分12秒 ワンピースにカーディガン(キャリーバッグを引いて歩く)

6分42秒 陸別町ロゴ

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 こうして見ると、実は一番長いのはスナックのシーンだったという。カラオケシーンもあるからなあ。
 西田さんの衣装は三種類。ほとんどのシーンで着られている藍色の地に白い花のワンピースと、コテージでのTシャツ&ショートパンツと、エンディングの白いワンピースにカーディガンだ。あと、運転士コスプレと、湯上りバスタオル。僕はエンディングのが一番好きかな。でもあれではスカートが長すぎて自転車に乗れないか。
 それでも、足元がずっとフラットなサンダルというのが、実に西田さんらしい。たぶん、西田さんはこうやって旅行するときにヒールは決して履かれない。このサンダルは、スナックのシーンでアップで見ることができる。履物は最後までこれ一種類しか出てこないのだけれど。西田さんは必要があってヒールを履く場合でも、フラットな靴を必ず持ち歩く、という人だ。
 ただ、冒頭のポントマムの草原を歩くシーンでは、ちょっと脚に草が刺さりやしないかと、心配になったり。あと、演出だとわかってはいるけれど、コテージで、そんな薄着でソファーで寝てしまっては冷えてしまって身体に良くないな、とか。

 さて、今回はただシーンを細かく区切って書いただけみたいなもので、解説というか、付帯情報は※印の注釈の方に書いた。どっちかというと、今回は注釈の方がメインだ。田中康夫の『何となくクリスタル』方式というか……若い人にはわかんないか。いや、僕だってクリスタルな世代ではないけれど
 動画からは得られない、得にくい情報を、ネットを中心に調べて注釈に書いた。誰だって探せる情報だけれど、これだけひとつにまとめたものはない、と思う。
 というわけで、いつもは注釈のフォントを小さくするのだけれど、今回はそうしないことにする。

 さて、西田さんのナレーションとか、動画内での会話とかにも触れたいところだけれど、これだけでも相当長くなったので、続きは次回に。





※1 このポントマムという草地での冒頭シーンは、最終日に撮ったそう。悪天候のために予定を一日延長したら、運よく晴れたというものだそうだ。その甲斐は十分にあったように思う。

調べたら、アイヌ語でポンは「小さい」、トマムは「湿地」という意味らしい。

※2 この道の駅は、かつての駅舎を利用した文字通りの「駅」で、この裏手で後に出てくるりくべつ鉄道の運転体験ができる、らしい。なお、ふれあいの湯で西田さんが飲んでいる「りくべつ牛乳」はここでも買えるとのこと。

ここで西田さんが食べているのは、ここのソフトクリーム工房のワッフルコーンソフト(\300)だと思われる。また、Twitterによると、完成披露試写会で再訪した時には豆乳シェイクを飲まれている。

※3 この自転車は「マイパラス SC-08」カラーはクリーム。20インチの折り畳み自転車で、6段変速。フレームはスチール。既に後継のSC-08 Pulusが出ているので、現在は廃版。

陸別町のレンタサイクルというわけでもなさそうだし、撮影のために持ち込まれたものかな。

※4 動画にもある通り、このカフェの店主の方は器も手作りされていて、西田さんはそのうちの一枚を購入し、アクセサリー入れとして使用されているようだ。なお、撮影前夜に行われた地元の方との交流バーベキューでの、店主の方とのツーショット写真が西田さんのブログに上がっている。(この記事の続きは……)
ここで読んでいるのは、小松英一郎・川端裕人『宇宙の始まり、そして終わり』
ケーキはベリーベリーティラミス。飲物は動画内では紹介されていないけれど、ホンシェルジュによるとソイ・カフェオレだそうだ。西田さんは豆乳好きだからな。
あと、ロケ地MAPによると、このカフェは町の中心から意外と遠い。

※5 撮影開始時は雨模様で寒かったらしく、天文台の(たぶん星空観測会用の)防寒着を着られていたとのこと。西田さんのブログの写真では、バーベキューの時も着ていた。天文台に行くと、西田さんが実際に着用された防寒着にサインしたものが展示されているらしい。

※6 このシーンは、西田さんがナレーション参加の動画『りくべつ480』にも使われている。

※7 ホンシェルジュに西田さん自身が書いたところによると、撮影の合間のわずかな休憩時間に読むには連作短編集、というシチュエーションらしい。ここで読んでいるのは綾辻行人『深泥丘奇譚』。北海道で京都が舞台の話を読むのが西田藍。
しかし、「ああみどり、みどりきみどり、またみどり」は名フレーズ。

ユクエピラチャシとはアイヌ語で「鹿が食べる崖」という意味だとのこと。

※8 このシーンからクランクインだとか。薄曇りで寒かったらしく、映っていないところでは天文台の防寒具を着ていたようだ。陸別町のHPだと西田さんとスタッフは前日入りで早朝から撮影開始したとあるけれど、西田さんのブログでは到着したその日に撮影を始めたかのように読める。まあ、どっちでもいいけれど。

※9 地元のご夫婦との会話のシーンで、西田さんの相槌が「はあ」でも「へえ」でもなく、「はえー」となっているのが、実に西田さんらしい。なお、このご夫婦は『陸別が好きvol.2』の表紙にもなっている。この冊子で『りくべつ 夏』の紹介がされているのだ。

※10 陸別町も他の地方自治体と同様に、過疎化の問題を抱えている。やや暗くなりがちだが、このシーンから子供たちのシーンに繋げて和らげている。しかし、廃屋の前でポージングするかのような西田さんは、妙にカッコいい。

※11 中学生の制服姿をスケッチする光景は、演出なのか素なのか。スケッチには襟の線が2本だとか、みじかいネクタイだとか書かれていて、これは西田さんが時々Twitterにあげる制服絵そのものだ。『陸別が好き。』に載っているオフショットと思しきものの中には、西田さんが子供たちにスケッチブックを見せている写真がある。やはり、西田さんの日常なのかもしれぬ。

※12 このふれあいの湯は、中学生をスケッチした保健センターの中にある施設。営業開始前に撮ったそうだ。入浴シーンやバスタオル姿は、透明感があってとても綺麗だ。

※13 牛乳を飲むシーンが切り替わってビールを飲むシーンになる。オープニングにカウンターの内側から出されたビールを受け取るシーンがあるけど、それがこの直前なのかな。西田さんの食べているものはカウンターの陰で見えない。箸でつまんでいるのは魚だと思うけれど。直前に焼いている絵があるが、あれは氷下魚かなあ。北海道だし。
また、撮影の約一ヶ月後、8月29日に行われた完成披露の試写会のために陸別町を再訪した西田さんが、日本酒を飲むところをTwitterにアップしているが、それもここかもしれない。

※14 肝心のカラオケシーンはBGMとナレーションになっていて、西田さんの歌声を聴くことは出来ないのだが、画面にちらっと映るカラオケの画面から、どうやら歌っていたのは松田聖子「天使のウィンク」だとわかる。ハロプロの曲かと思っていたら。まあ、この方が地元の方々と盛り上がるだろうな。実は西田さんは80年代アイドルにもお詳しい。

※15 本を読んでいるうちにソファーで寝てしまって朝、というようなシチュエーション。テーブルの上には『ユービック』。ここのコテージは6人用かららしいので、一人で泊まるにはやや広すぎる。この日は朝の3時から撮影だったそうで、きっと寒かったことだろう。手足を出した薄着だし。後ろに見えるのが東屋なら、コテージ村のHPにある地図から、撮影したコテージも特定できそうだ。

※16 ロケ地MAPによると、エンディングの三叉路は天文台から下ってきたところらしい。右が町で、左がコテージ村。難癖をつけるわけじゃないが、コテージで朝を迎えて、天文台から下ってきてコテージの方に向かう、という絵になっている。

ナレーションの最後は、「さようなら、りくべつ。また来たいな」 で、今度は冬に行くことになったわけだ。