動画を見て「強力粉・水・塩・イースト、混ぜて待てば“パーン!”」と胸が高鳴る。

 

初回から気泡の大きいクラム、ツヤのあるクープ、朝の食卓に焼き立ての香り——そう思って夜に生地をこね、冷蔵庫へ。

翌朝は映画のように膨らんで…のはずが、ボウルの底でしっとり眠るだけ。

慌てて室温に出しても、待てど暮らせど動かない。


週末は道具も奮発。

発酵かご、スコア用の替刃、鋳鉄鍋までそろえて「これで職人」。

ところが本番、オーブン予熱をケチって“オーブンスプリング”が起きず、クープはうっすら一本線。

切り分けると、しっとり…ではなく、ずっしり。SNSの“気泡の宇宙”は、今日も遠い。

 

 

✅ よくある「パン作りあるある」:
・レンジ発酵で“ほかほか”にし過ぎてイースト昇天
・打ち粉を景気よく振り過ぎ→生地がすべって成形迷子
・「パンチ」を本当に“パンチ”してベタつき倍増
・発酵見極めは“時間”で決めて毎回ブレる
・クープが浅くて“引っ掻き傷”で終了
・焼けた!と喜んで切ったら中心が生…(待てない)

(笑える小話)
・“ベンチタイム”に本当にベンチでコーヒー→戻ったら過発酵
・柔軟剤の香りたっぷりタオルで濡れ布巾にして、パンが高級ホテルの匂いに
・猫が発酵かごを新寝床に採用、スピルリナ色の肉球模様つきカンパーニュ完成

 

❌ 実際は…:
・一次発酵は“2倍”より“指でそっと押してゆっくり戻る”が基準
・生地温は理想26〜28℃前後。部屋が寒い日は水を温める、暑い日は冷やす
・予熱は鋳鉄鍋ごと最低30〜45分。蒸気(鍋フタ/耐熱トレー給湿)がクープを開かせる
・配合はg単位、吸水は粉で変わるので“レシピ神話”より“記録と微調整”
・こね不足より“折りたたみでグルテン整える”のが安定
・塩は必須(粉の2%目安)。忘れると“味のない白い物体”

 

 

慣れと経験も大きい:
パン作りの核心は「温度・時間・湿度」を“待つ心”でそろえること。

レシピは地図であって、現地は毎回違う。

一次発酵は“1.7〜2.0倍&指跡ゆっくり戻る”、分割後は“表面に張りを作る”、最終発酵は“押してすぐ戻らず、へこみが残りすぎない中間域”。焼成は“予熱をケチらない・最初は高温×蒸気、後半はフタ外して色づけ”。

一回ごとに「粉・水温・室温・生地温・発酵時間・焼成温度」をメモすると、SNSの“宇宙気泡”は神のご加護ではなく再現可能な“条件”に変わります。
 

ちなみに今日の私の失敗は、朝の室温18℃で水も粉もキンキンのまま仕込み→お昼まで微動だにせず。

湯せんで生地ボウルを人肌にしてから動き出しました。

 

あなたの“やらかし”は? オーブンのクセ、好きな粉、最強の朝食アレンジなど、次の焼成のヒントになりそうなネタ、こっそり教えてください。