礼 | 77歳道場師範が語る剣の道

いきなりだが、剣道では、 「礼に始まり、礼に終わる」 と言うのじゃ。

それくらい、剣道では礼は大事なんじゃよ。


剣道だけでなく、毎日の生活でも一日何回も礼をする。

でも、最近は礼のしかたも知らない人が多いから、困ったことになる。

知っていてやらないのも良くないが、知らないから出来ないでは、全く話にならん。


今日は、礼の基本の一つ、「座礼」について話そうかのぅ。


77歳道場師範が語る剣の道
(わしの道場と、わしの防具じゃ。。)


道場での稽古の始めと終わりは、座礼をするのじゃ。


座礼は、

1.

まず、相手の目を見て、相手と同時に左手、右手の順番で両手をつくんじゃ。

両腕で正三角形の二辺を作るイメージじゃな。


(余談)

なぜ、左手を先につくかわかるかな?

その昔、お侍さんは刀を腰に差す時は、左腰に差したんじゃ。

座る時も、お侍さんは刀を左手のそばに置いたんじゃ。

相手の目を見て、相手に少しでも自分に掛かってくる気配があれば、右手で刀をぬくんじゃよ。

その為に、右手を最後まで自由にしておくんじゃ。

また、初めての相手と礼(座礼)をする時も、深く頭は下げない。

相手の気配を常に感じながら、頭を下げるんじゃよ。

体で一番大事な頭をさげるんだから、このくらいの注意が必要じゃ。

逆に、上座(神前)に礼をする時、逆に両手を一緒につくんじゃ。

それも、少し深く頭を下げるんじゃな。

これは、相手(上座)に対して、「私は、全く疑いも警戒もしていません」という心の現れなんじゃ。

(モトイ、余談が長くのうてしもうた。)


2.

この後、両手の手の甲と額を近づけのだが、頭を下げすぎてもいけない。

おしりも上がらないように、背筋が水平になるのを意識して、約3秒間続けるんじゃ。


3.

頭を上げる時には、両手をついたまま、両手が伸びきるまで頭をあげるんじゃ。

その後、目上の人が完全に頭をあげてから、自分も頭をあげるんじゃ。

そして、両手を膝の上に置くんじゃ。


目上の人よりも先に頭を上げない、これも大事なポイントじゃ。


剣道でも師の位が先に動き、弟子はその後に続き動作を起こす。

とても細かいことじゃが、ここに剣道の精神があるんじゃよ。

礼儀の作法も細かく学ぼうとすると、難しいんじゃよ。


ひとつ一つを丁寧にすると、そのうちにいろいろな点が結ばれて、一つの大きな人間になるんじゃなぁ。

子ども達には、この一つひとつをしっかり学んでほしいものじゃ。

今日は礼の中の「座礼」について話した。

次回は「立礼」について、話てみようかのう。



剣道とは、自己表現の手段じゃ。

座礼もうまくできないと、表現不足になってしまうんじゃな。

これも稽古、修行じゃよ。

ペタしてね


では、また