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「この溝からこっちは私のじんちだから


ぜったいに来ちゃダメだからね!


わかった?ぜっったいに!


わかった??わたしって、こっちからこっち


わたしのじんちっ


わかった?はい、は?」



『はい笑笑』



こんな赤ちゃんみたいな要求をしてくる



彼女と向かい合う。



小さいライトだけが私たちを照らす、



薄暗いベッドの上。



ゆ「じゃあおやすみ」



カメラ切った瞬間、そう言って背を向けた彼女に



素直じゃないなと苦笑いしながら、



私は自分のベッドに背転がった。



絶対にこっちには来ちゃダメだよ。



そんなこと言ってたけどさ、ゆうちゃん。



そんなの出来るの?って



だってもう私達そんなベッドの溝なんかよりも



さらにさらに深い峡谷を飛び越えちゃってるんだよ?



そう思うと同時、ベッドでガサガサ音がなって、



暗闇の目の前、彼女の顔が現れる。



ゆ「なぁ、、」



私の服をギュッと掴んで、



おねだり。



ほんとにずるい人だと思う。



彼女をギュッと抱きしめると、



同時にちょっと拗ねた声。



ゆ「なんでぎゅうしてくれなかったの、、」



怒ってるんだろうけど、



その声って全然怖くないよ?



なんて言ったらゆうちゃんはまた怒るだろうか?



だから言えるわけない。



ゆうちゃんが来ないでって言ったんでしょ、なんて。



その甘い声で私の背中の服をギュッと掴む彼女に



私は優しく口付ける。



まるでいちじくの皮を剥くように



一枚一枚、彼女の服を剥がして、



もうそれは、明日起きれないね、



なんてそんな生ぬるい問題じゃないくらいに



何度も彼女を鳴かせたりして



落ちていくのは海峡の溝。



汗ばんだ背中をそっと撫でながら、



力が入ったり、抜けたりを繰り返すその身体と



とろけるような表情を



脳裏にこれでもかと焼き付けて、



最後は意識を手放す彼女に



『愛してます』



自分でも笑っちゃうくらいの甘い声と



おでこに落とす愛のキスで



フィナーレ。



ベッドの溝なんか容易に飛び越えた



それは至って激しく温かい最高の夜明け。