然るに今日は金曜日。
気怠げな雰囲気がクラス全体を包む
いわば教室にいる全員の気が抜け始める週終わり。
ゆ「なぁちゃんっ!一緒に私達とお弁当食べよ?」
な「あっ、ゆうちゃん!」
あの一件から見事、私たちは仲を取り戻し、
クラスメイト達も私のあの本気ぶりに
口出しができなくなったようで、
確かに周りの視線はまだあるにはあるけれど、
彼女の優しい笑顔を見れるのなら
そんなの痒くも痛くもないわけで
な「先生に用事があるから、先に屋上行ってて?」
ゆ「うん、分かった
じゃあなぁちゃんの分のお弁当も持ってくよ」
な「じゃあ、お願いします」
ゆ「はい、お預かりします笑笑」
そうして私は彩奈と茂木が先に向かった
大好きな屋上へと足を向ける。
ゆ「彩奈〜!茂木〜!」
扉を開けると同時、そう元気よく叫ぶと
目の前の彼女達は私のハッピーオーラとはまるで真逆
深刻な面持ちをしていたりして。
ゆ「ねぇ、どしたの?
それよりなぁちゃんも一緒に食べていい??」
も「あぁ、私は全然いいけど、、」
あ「やだ、、」
こちらに一瞥さえくれる事もなく、
彼女は徐にお弁当を開け、食べ始める。
も「彩奈、、そんな子供じみたこと言うな」
そんな彼女に呆れ気味の茂木に
あぁこれは私が知らないとこで
何か起こってるやつだって
瞬時に察知し、彩奈の肩にそっと手を添える。
ゆ「彩奈、何かあったの?」
あ「、、さんと、、べれば、、いじゃん」
ゆ「えっ?」
あまりにも力のない呟きに思わず、聞き返す。
快晴の空とは全く似合わない彩奈の雰囲気は
いつもの柔らかいそれとは違くて、
私の心配は加速していく一方。
ゆ「話しにくいなら、2人で話そ?
ねっ?なぁちゃんにはちゃんと言っ((」
あ「そればっかじゃん!」
ゆ「えっ?」
あ「なぁちゃん、なぁちゃんって
最近ずっと岡田さんのことばっかじゃん!!!」
泣きそうな、悔しそうなその顔は
いつも部活で試合に負けた時なんかに
愚痴をこぼす彼女から何度も見た表情で
未だに自分に向けられたことのないそれに
私はどうすればいいのかわからなくなる。
途端、言い訳したいのに、
そんなことないって言い返したいのに
何も言えないのはきっと
なぁちゃんに気を取られている自覚があったせいで。
ゆ「ご、ごめん」
あ「岡田さんが好きなら、
岡田さんと食べればいいじゃん
それなら私は彩希と一緒に食べたくない!」
そう言うと彼女は勢いよく屋上から飛び出し、
も「彩奈っ!!」
ゆ「あやな!!!」
そう叫んだ茂木と私に背を向け、
階段を駆け降りる。
感情があちらこちらへ走り出す、
それは余りにも騒がしい昼休みの始まり。