社長室、
ガラスで区切られたこの部屋は
明るく、外から丸見えだと言うのにも関わらず、
他の世界との疎外感があった。
目の前の女性の背後から
今にも黒い何かがモヤモヤ出てきそうなせいか
私たちがミッションを完全に遂行しなかった罪悪感のせいか。
きっと前者だろうが、
おんちゃんの圧に縮こまっている茂木さんを見て、
そう言うのはやめておいた。
お「で?これはどういうこと?」
社長室から少し離れたところに不安そうに座る彼女を見ながら、
社長はそう言い放った。
他の人とは違う威圧感。
私と特に茂木さんは背筋を凍らせた。
も「これは〜、、、ちょっと事情がございまして」
顔色を伺うようにそう恐る恐る言い訳をしようとする茂木さんを一瞥し、
彼女は私を見た。
まるで私に説明しろとでも言うように。
な「無駄な犠牲だと判断し、
後処理が大変なので始末しませんでした」
数秒の沈黙が続く、
きっと彼女はこれ以上の説明を欲しているに違いない。
殺さなかった理由ではなく、
連れ帰ってきた理由を。
も「どうしても一緒に来たいって言うから、、、」
そう茂木さんが言うと、
おんちゃんは私が
これ以上口を開くつもりはないことを悟ったのか、
深い溜息をついた。
同情でとか、
いい情報を持ってそうだとか、
言い訳は無数にあるものなのに、
それが口から出てこないのは、
彼女の痛みを、
自分の痛みと重ねてしまったからだった。
お「じゃあ彼女の事、どうすんの??
このままうちに置いておくことはできないよ」
暇なのか、緊張しているのか、
ずっと指遊びをしている彼女をじっと見つめる。
大人っぽい化粧の裏に隠れる幼さはきっと
大人っぽい振る舞いの裏に隠れる
大人になりたくないと言う感情とリンクしているんだろう。
彼女が不意に顔を上げる。
火花を上げるようにバチっとあった目。
鷲掴みにされたように離せなくて、
私は彼女の瞳を貫いた。
異様な空気に耐えられなくなったのか、
先に目を逸らした彼女。
そして私は彼女を見ながら、
な「私にいい案があります」
そう社長に言った。