さらば連合赤軍の同志諸君! 重信房子 | 北のりゆき☭遊撃インターネットのブログと小説

北のりゆき☭遊撃インターネットのブログと小説

遊撃インターネットを主催。 
https://yuugeki1997.x.fc2.com/top.htm 
共産趣味に関することや小説を書いています。 
http://www.sepia.dti.ne.jp/yuugeki-internet/nikki00

 赤軍派の同志諸君ならびに連合赤軍の同志諸君そして友人たちへ! 
                                  一九七二年三月十四日
 さらば連合赤軍の同志諸君!
 赤軍兵士の一人として、夢と勇気を込めて、決別を宣言する。決別とは、真の革命戦争を準備すること。決別とは、不退転の決意で自らを検証すること。たとえ銃撃戦の開始をもって、人民に武装の質を伝達したとしても、自らの体内に共産主義がないかぎり、それは我々がめざす革命戦争ではない。敵との直接的な緊張関係を通してでなく、味方内部を規律によって、共産主義化しうるという幻想は、悪しき独裁を助けるだけだ。我々はこんな革命はいらない。
 仲間を殺した連合赤軍の同志たち、今だ、同志と呼ぼうとする私の気持ちが判りますか。仲間を殺す権利など、誰も持ちあわせてはいない。あなたたちの革命の私物化を、闘う同志たちは、決して、許しはしないだろう。たとえあなた達が、数人、数十人の敵を殺したとしても、仲間を殺した罪は、償えないだろう。
 殺害に責任ある同志たち、ブルジョア裁判によってではなく、人民の手によって裁かれることを望んで欲しい。
 我々は、ブルジョア裁判で、あなた達が処刑される以前に、同志として我々の手であなた達を、裁くことを義務として負うだろう。
 同志諸君、困難をのりこえ、この責任を同質に負いながら未だ尚、革命戦争を継承している同志諸君、中国革命の困難な途上を覚えていますか?
「隊伍を整えなさい。隊伍とは、仲間であります。仲間ではない隊伍がうまくいくはずがないではありませんか。我々は、隊伍をととのえた。全軍は、九十一人と七十二挺の銃を残すのみとなった。多くの者が失われたが、残った者は精鋭中の精鋭であり、自覚を持ち、立場をわきまえ、どの様な、困難と欠乏にも耐え得る戦士、すなわち、もはや、わかち難き〝革命の志″に結ばれた一心同体の仲間のみであった」
 隊伍をととのえなさい。隊伍とは仲間であります。この言葉を叫びながら、同志達と、こんなにも隔絶してしまっている無念さに不覚にも涙が流れてならないのです。覚えていますか? 議長を中大にとらわれ、関東学院に集結した時のことを。お金もなく、闘う武器もなく、しかしながら、〝革命の志″に結ばれた一心同体の仲間達は、心に余裕があったことを。
 覚えていますか? 一人の同志の言葉を。
「たとえ、赤軍派が存在しても『リンチをする組織』『仏議長を権力に売った組織』として永遠に批判されるだろう。これに対して、仏議長を奪い返す戦術も練った。だが、事実は、事実であり、たとえ赤軍派を解散しても、『スネに傷を持っている』過去が、我々からなくなる訳ではない。
 赤軍建設は、現赤軍派以外のものによってしかなし得ないのか? 我々は一生『反革命』でなければならないのか? いや、たとえ、『スネに傷を持って』いようとも、ここで赤軍派を解散してはならない。秋の蜂起は、誰がやるのか。我々は自己批判しよう。我々指導部は、右派でも、中間派でもない。中央委員会、その下の統制委員会で死刑を受けても良い。そのことでは、はっきりと階級的に自己批判します。にもかかわらず、現在の赤軍派を解散してはならない。
 指導部は、トロツキーや、ボルシェヴィキの様に殺されても、それは『スネに傷』を持っているから、仕方がないが、君たちは、立派に堂々と育ってよい。死んではならない。六九年秋の決定的な歴史の転換に、蜂起で応えるのだ。今、芽をふいたばかりの赤軍、日本階級闘争と、世界の歴史の一切の利益を表現している赤軍の芽を、ここで殺したらまた、歴史は、数十年を全地球的地獄の世界とするだろう。第二次世界大戦以上の未曾有の破局! 否! 否! 否!」(赤軍結成の歴史「世界革命への飛翔」より)
 あらゆる友人達に、自己批判を通して、わかち合う地平を確信する為に、どんなに痛苦であろうとも始めようではありませんか。
 同志達、唯一このことによって、殺された仲間達の無念を、情念として出発することが出来るのです。
 そして、闘う友人達。
 現在の新左翼運動の純化された形態を、赤軍派がひきずっていたことも事実です。先行した現実を、同様に、闘う友人達も自らの検証の地平として、みつめようではありませんか。
 あらゆる党派、あらゆる闘いの担い手が、自らのものとして再点検しない限り、大なり、小なり、こうした終焉に向うにちがいないと思うのです。
党-軍の共産主義化の闘いは、味方階級の普遍的な質として、敵との攻防を通して、創造されるものであり、死を決意した闘いは、同志の命がどんなに尊いものであるか、現実に銃撃戦を闘いぬいているパレスチナの同志達から教えられています。
 パレスチナの闘う同志達は、日本の闘いがインターナショナルといいつつも、実は、ナショナルな情念、価値観念にとらわれていることに、悲しみと、驚きを表現しています。
 私は、赤軍兵士の一人として、世界の質を、実質的に逆流させることを、断固として、持続させるでしょう。
 獄中の同志達、この苦闘を乗り越える主体を、日本の闘う同志達と共に着実に持ちつづけることを約束します。
 同志達、闘いの中で抱き合える日を確信します。


 この文章は、一九七二年三月十四日付けでベイルートより寄せられた重信房子の所感であり、三月三十一日『3.31 HJ2周年 銃撃戦万歳・故連合赤軍兵士追悼・人民集会』において読み上げられたものである。