今日の夜にいよいよコリンが到着します!無事に搭乗したとのメッセージが来ていたので、今頃はニューヨークからの飛行機の中でしょう。トラブルなく無事に着きますように。

 

ブログは前回の続き、デュオリサイタル後半の聴きどころとエピソードを書いてみました。

 

 

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yutamaki.com/colin

 

・大阪公演1月5日金曜日19時@豊中アクア文化ホール

阪急曽根駅から徒歩5分

 

・東京公演1月9日火曜日19時@渋谷大和田さくらホール

渋谷駅から徒歩5分

 

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<マーティン:アッシュ(日本初演)>

この曲当初は大阪公演だけの予定でしたが、東京でも演奏されることになりました。

 

コリン・ウィリアムス自身のごくごく個人的な経験が題材となったこの曲。コリンは「絶望の淵から、希望へと進んでいく感情の旅」と表現しています。

 

コリンは2009年にアンブシュア(唇)を負傷し、演奏を休止せざるを得ないという状況に遭遇します。彼は当時所属していたアトランタ響を1年間休み、復帰できなかった時のために大学院に通いビジネスを専攻するほど、その状況は深刻なものだったのです。音楽家にとって演奏ができなくなることは、自分の声を奪われるだけではなく、その先の人生を根本から変えてしまうほどの衝撃があります。最終的には困難を克服し完全復活を遂げて、ついにはニューヨークフィルに入団。現在大活躍中ですが、想像を絶する辛い時期だっただろうと思います。

 

コリン自身「この曲の音を聞くとき、自分が絶望の淵に立たされていた状況をまざまざと思い出すのです。そのため今だに演奏するのがすごく難しい!」と語っています。絶望の淵から、希望へと進んでいく感情の旅。日本初演となるこの曲、コリンの演奏から大きな勇気をもらうことができるのでは思います。僕も当日のコリンの演奏をとても楽しみにしています。

 

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<テレマン:トロンボーン二本のためのソナタ第五番より>

<ボルター:アーチャー>

この二曲は大阪公演での演奏のみとなりますが、東京では1月8日夜のジョイブラス主催のマスタークラスの時に演奏する予定です。

 

コリンと初めて会ったのがサイトウキネンだったというのは前にもお話ししました。そのサイトウキネンの空き時間には、みんなで集まってアンサンブルやったりオケスタやったりして交流していました。古今東西トロンボーン吹きの交流といえばアンサンブルとお酒ですね😉

 

その時にコリンと一緒に練習したのがこのテレマンでした。同族楽器のデュエットというのは、他にない親密な感じがしますね。清水真弓さんと組んでいる「たましみず」もそうです。一つひとつの音の発音や処理、音色感を直に感じ、それにお互いが反応する。まるで対談のような、意見交換のような、音楽のキャッチボールみたいな深い感覚があるかと思います。テレマン、楽しみです。

 

アーチャーを作曲した、ノーマン・ボルターといえば長年ボストン響の2番トロンボーン奏者を務めた名手です。小澤征爾さんが監督だった時代も含めて、バロン、ボルター、ヨーというのが長年のトロンボーンセクションだったのが数年前に三人ともが引退し、今ではセクションが様変わりしました。世界中で世代交代の波が来ていますが、ここにも。

 

それに比べてシカゴ響は三人ともバリバリの現役ですね。首席のフリードマンは70代半ばでしょうか?バストロのヴァーノンも70近いはず。すごいですね。僕もそれまでトロンボーンを現役で吹いていられるかなあ。というかその歳まで生きられるかなあ😅 

 

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<プロコフィエフ:「ロミオとジュリエット」>

シェークスピアの戯曲「ロミオとジュリエット」はとても有名ですね。敵対する家柄出身の二人が恋に落ち、泥沼の末に最後は二人ともが自殺をしてしまうという悲劇ですね。

 

恋愛において、平穏な環境よりも障害のあるカップルの方が、より強く目的を達成しようとする、特に家族に反対されると逆に愛情度が高まり、恋愛が盛り上がる効果のことを「ロミオとジュリエットエフェクト」と言うそうです。そういや映画とかドラマとか大体そんな感じですね。映画はほとんどがハッピーエンドですが、盛り上がったその後どうなるんでしょうね?後日談が気になります。

 

プロコフィエフのロミオとジュリエットはバレエを想定して書かれていますが、当初はハッピーエンドを計画していたそうです。自殺したはずの死体が起き上がってまた踊るのは変だろうってことで、死んでいるロミオをジュリエットが発見するシーンで、ロミオが「実は死んでなかったよ」って起き上がる設定を考えていたみたい。

 

でもこの件も含めて、初演に向けてソ連当局とも色々とすったもんだがあって、結局は原作と同じバッドエンドでまとまったようです。でも、もしハッピーエンドにしてたら、全然話ちゃうやんってなりますよねきっと。物語の厚みや作品全体を支配する空気そのものが変わっていたんじゃないかなと思います。

 

今回は僕らが委嘱した新編曲デュエット版を演奏します。素晴らしい編曲に仕上がってます!テナー2本+ピアノの曲ってあまりないので、今後はたくさんの人に演奏してほしいなあと思います。