先日、ニュージャージーの
あるご家族に挨拶に伺った。
僕にとって、人生、最大の恩人のお一人だ。

まさか、飛行機が同じだなんて。
本当にそんなことがあるんだ、と驚いた。



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ニューヨークからの帰国の時、
僕の家庭にはとても大きな問題が生じた。

飼っている犬、カインのことだ。

アメリカに来る人、帰る人のために、
僕の家族が体験したことを書こうと思うが、
通常、ペットを飼っている人は
渡米と帰国、両方、とても大変だ。

渡米はまだ、そこまできつくない。
予防接種、所定の手続き。
もちろん大変だが、そこまでじゃない。
が、問題は

「日本に入国する手続き」

だ。
色々ありすぎて、話を省くが、
とにかく、犬を飼っている場合、
日本にその犬を連れていくためには

最低で7カ月

の期間を要する。
相変わらず、デリケート大国、ニッポンだ。
そこまでやらんでも、と言うくらい、
面倒な手続きが必要となる。

ちなみに、ほとんどスルーに近い状態で
入国できるアメリカにおいて、
僕の調べた限り、ここ20年、
特に大きな問題は生じていない。

ま、日本らしいと言えば日本らしい。

どこぞの役人が
「何かあった時に責任を取りたくない」
ためのいつもの日本的処置だ。

と言ってしまえば、簡単だが、
話しはそうたやすくない。

僕の飼っているカインはもう当時、10歳。
ゴールデンレトリーバーという犬種を考えると、
もう相当なおばあちゃんだ。

僕は例の一件で「突然の帰国」を命じられた。
つまり、僕たちは日本に帰るが、カインだけは

日本に帰れないのだ。

懸命に人事部に掛け合おうとしたが、

「自分の事情ばかり言ってんじゃないぞ!」

と取り合ってくれない。
最終的にはこちらの人事の人間に

「アダプトという選択肢もありますから♪」

と言われ、もはやこれは話をするだけ無駄だとあきらめた。
あ、アダプトが分からないですか?
「養子」ってことですね。
10年一緒に生きてきた家族です。
一緒に帰国できないから、
他の家に出せ、と言われるとは思わなかった。



しかし、さすがに度を過ぎている、と感じてくれた人たちがいた。
そこから、2週間。
僕は
「運命」という単語の本当の意味を知ることになる。