http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20111108-00000301-agora-bus_all
韓国がウオン安政策を採用しているが実質賃金が下がっているから、成功していないとの論旨である。
日本はゼロインフレだけど実質賃金は下がっている。両国とも実質賃金は下がっているのである。
実質賃金が上がるというのは、物価上昇率に対して賃金上昇率が上がることである。
実質賃金が上がれば財やサービスの購買力が上がるわけだから国民の幸福度は上がるはずである。
では、実質賃金が上がるためにはどうすればいいんだろうか?
詳しい計算は省略するが、
実質賃金上昇率=生産性上昇率+労働分配率である。
つまり生産性というのは一人当たりの生み出す付加価値であり、労働分配率というのは経常利益+減価償却費+人件費+その他のうち、人件費の占める割合のことである。
つまり、労働者一人当たりがたくさんの付加価値を生むことができて、利益のうちで人件費に充当する割合が増えれば実質賃金は上がるのである。
生産性の上昇はひどく悪いイメージが付きまとっている。
「新自由主義者だ!」「そんなものを追求するのは外資の手先だ!」とまで言われる。
しかし、生産性は上昇しないと実質賃金は上がらないのである。
確かに分母である労働者を減らしてサービス残業させれば同じ付加価値でも生産性は上がる。
そういう悪いイメージがあるのだが、かと言って労働分配率だけ上げておけばいいんだろうか?
そういう会社は株主への配当は少ないし設備の更新だって遅れるだろう。
そうなれば生産性は下がり実質賃金上昇率は結局マイナスになる可能性だってある。
会計の世界では「人件費は伸びて労働分配率は下がる状態を続けることがベスト!」なんて言う言葉があるらしい。もっともではある。
それにはやはり十分な伸びの売り上げが、需要が必要なのではないか?
需要を取り込むためには、絶対的に規制緩和である。
規制の多い業種は機会損失が生じやすい。みすみす儲けを取り逃がしているのである。
規制に守られていればガツガツ稼がなくてもそれなりでいいのである。
しかし、そこからはじかれた人間には良い迷惑ではないだろうか?
一部の既得権益者の利権のために、知らない間に就業や社会生活の機会が消失しているのだから。
これは国民が実際に知る術がないのである。実際に規制緩和が行われれば、こんなに就業機会はあったのか?と実感できるのだが、規制どっぷりのままでは国民は想像すらできない。
だから何も知らない国民は規制緩和には何か新自由主義的イメージがあって「良くないもの」「既存の産業の給与を下げてしまう悪いもの」というイメージが作られてしまう。
実質賃金を上げるポイントは売上が、需要が十分に上がり人件費が上がり、労働分配率が下がり、十分な設備投資や社員教育が行われ労働生産性が上がることなのである。
その大前提は貨幣価値が下がり続けるインフレが必須である。
マスコミの作り上げたイメージやネットの妄言に騙されてはいけないのである。