摂食障害の女性たちが音楽劇 岡山・勝央で27日 | 勇者親分(負けず嫌いの欲しがり屋)

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 拒食や過食の摂食障害がある女性たちのグループが、音楽劇の公演を27日に岡山県勝央町の勝央文化ホール(勝間田)で開く。町内の回復施設「なのはなファミリー」で集団生活を送り、農業に取り組みながら練習に励んできた。

 周囲に田んぼが広がる旧古吉野小学校。回復施設の活動拠点は児童数の減少で廃校となった小学校の校舎で、音楽劇の練習は体育館でしている。

 施設は2004年4月にできた。障害者の機能回復を手助けするNPO法人「ハートピー」理事長の小野瀬健人さん(56)と妻のゆかりさん(52)が、摂食障害の女性を受け入れようと立ち上げた。現在、北海道や神奈川など全国各地から来た16~40歳の女性たち約60人が共同生活をしながら、農作業や音楽、スポーツの体験などを通じて、回復をはかっている。

 約250アールの田畑を借りて米や野菜を栽培し、ソフトバレーなどのスポーツと音楽劇に取り組んできた。みんなで協力して物事を成し遂げ、前向きな気持ちを持ってもらうのが狙いだ。

 上演する音楽劇は「虫の国のアリス」。過保護の娘虫と母親虫が出てくるパートや、出世がすべてのサラリーマン社会に生きる虫が出てくるパートなどに分かれており、現代社会を風刺した約2時間半の創作劇だ。

 台本は小野瀬さんと女性たちが話し合って考えた。「私はお母さんの人形」「親の期待から離れられたらどんなに幸せだろう」などと、親との葛藤を表現したセリフもある。小野瀬さんによると、摂食障害は幼少期に家族との関係がうまくいかずに発症する場合もあるという。

 エレキギターやドラム、フルート、サックスなどの楽器も女性たちが演奏しており、地元の音楽愛好家から指導を受けている。ドレスなどの衣装はほとんど手作り。メンバーの大半が、施設に入って初めて音楽劇を体験する。

 名古屋市出身ののぞみさん(20)は中学の時から拒食症となり、親に暴力をふるったこともある。2年前に施設にきた。「みんなで劇を作り上げて表現できるのは本当に楽しい。多くの人に見てもらいたい」

 横浜市出身のあきこさん(32)は中学生の時に拒食と過食症となった。心から信じ合える友達がおらず、いつも孤独感があったという。昨年7月に施設に入り、間もなく「卒業」予定だ。「みんなが人にやさしく生きていけるような社会になって欲しい。そんな思いを込めて当日は演じたい」

 女性たちから「お父さん」と親しみを込めて呼ばれている小野瀬さんは「音楽劇という表現活動をみんな一緒になって取り組むことで、自分がどういう存在なのかを理解することができる。彼女たちの生きていく自信につながるんです」と話す。

 音楽劇は午後1時半開演。入場無料。(吉村治彦)