そして楽しみにしていたのがこれ。
半分は止めのスラッグの餌食となってしまわれましたが、内ロース肉。あばら骨内側の骨盤のあたりにあるいわゆるヒレ肉にあたる部位です。
ロース肉やバラ肉を含む外側の筋肉は、野山を駆けまわるうちに鎧のように固くなるイノシシですが、運動に関係ないヒレ肉は大きな個体でも固くならないようで見た目や手触りからして柔らかそうです。
稀少性やその柔らかさからとった猟師の特権とされ、お裾分けで貰ったこともない部位でした。初めて食べる部位。
3%程度の塩水に一時間浸して、真水に一時間浸します。すると血と塩が一緒に抜けるようです。
そのあと周りの筋膜を包丁で外し、キッチンペーパーを引いたタッパーにラップをかけて水分を抜きます。
他の部位と違って肉を切る包丁に力が要らない…なんて柔らかいんだろうか…
あとは小麦粉叩いて卵に漬けてパン粉してからカラッと揚げます。
たまたま結婚記念日でポタージュとかムニエルとかあるけど、異彩を放つシシカツが激ウマで…
むっちりしてるけど絶対鶏肉より柔らかい。言うなれば角煮の柔らかさのヒレカツ。揚げたては少し獣の臭いが油に混じるけど、少したつと全く感じない。
正直、襲いかかってくるイノシシ見て、『二匹目は掛からなくてもいいかな…』って思ってたし、スラッグがぶち抜いた内ロース肉も、『大丈夫かしら…』としか思ってなかったけど、今なら『もう一匹掛からないかなぁー』『内ロース肉が…なんて事を!!』と思ってしまいそうです。
分け分けした肉もシシカレーになり、コーラ煮になり、美味しく味わわれたみたいで良かった良かった。