【いま読んでいる本】

「眠れなくなるほど面白い
犯罪心理学」

読んでいたら本当に眠れなくなるほど面白くて夜更かしをする羽目になってしまった。

フリースペースにて、最近劇的な変化が発生し、これは困った事になったと思案していた。
YURUYURUが、危うく治外法権スペースになるところだった。
(スペース開催場所を管轄されている公的機関に相談し、ある対策を講じて改善された)

私はこれまで「非行化の原因」を主に家庭と学校に求めてきた。
しかしこの本を読むと、そうとばかりは言えないのだろうと、これを頭の片隅に置いておこうと備忘録として記します。

この著書は
「法政大学・文学部心理学科」越智啓太教授によるもの。

面白くて読み耽ったというより、読みかけの本を一時中断し、必要に迫られて読み始めたのだ。

もちろん非行の原因が、家庭に全くないわけではない。
親の、子どもへの関心が希薄なことから、子どもの交友関係に目が行き届かない事も原因のひとつではある。
勿論、虐待あり、親の依存症あり、面前DVあり、ネグレクトあり。

家庭にも学校にも居場所がなくなれば、いわゆる非行を犯す若者と接触しやすい場所に居場所を求めざるを得ない。

「分化的接触理論」によると一部の若者が非行に走る要因は「交遊する友人関係」の影響によるものが大きいということらしい。

私なりの表現を用いると・・

私達の価値観は、身近な人からの影響を受けて形成される。
身近な者が反社会的行動をとっていると「朱に交われば朱くなる」現象が起き、自らも法を軽視する行動をとるようになる。

但し、全ての若者がそうなるとは言えない。
非行化する若者の特徴として、
パーソナリティが脆弱で、セルフコントロールがとれないタイプだと指摘されている。

集団になると誇大性を帯び尊大になる。正に怖いもの無し集団となる。
非行もエスカレートする。

しかし、非行少年少女と交わっても決して非行化しない若者がいる。

これまでYURUYURUはこのタイプの利用者が占めていた。
過酷な環境にあったにも関わらず、第三の居場所を求めて公園を訪れても非行に走らず、スタッフや他の利用者と交流し、相談することで、自力で未来を切り開こうとする若者だ。

将来なりたいモデルをイメージし、生活を描き、そこに向かって進もうとする。
彼らは「モデルに近づきたい欲求」に正直で貪欲だ。
腕や太腿に新しいリストカット痕をつけていても、
非行に走らず懸命に活路を見出そうとしている。

この現象は「分化的同一化」という理論で説明されていた。

善悪の区別に厳格な自己概念を持っていれば、まわりに非行の友人たちがいても決して非行化しない。

これを「非行絶縁体理論」と言うらしい。

ある方からメールを頂いた。
不法行為を黙認する大人の元には、やはり非行を行う若者が集まる。
それは決して彼らの為にはならない。
(一度「非行少年・少女」とレッテルを貼られると、彼らは何時までも非行を繰り返すようになるという記述もあった)
「あなたの、ならぬものはならぬのです」という姿勢を支持しますと。

これが正解かどうか、今は分からない。

若者の非行化は
「若者達からのSOS」であることには違いはないのだから。
説教をしても反発が返って来て、余計に心を頑なにさせる。

「自助の力」を育むことに重きを置いている私は、自らの脆弱ゆえに非行に走ることを選んだ彼らからも話しを聴かせて欲しいと思う。

ところが、壁が立ちはだかる。
集団になることで得られる誇大性と尊大さは、一種の麻薬のようなものだ。
彼らは常に集団で行動し、自らの脆弱性に気づくこともなく、麻薬に取り憑かれてしまうのだ。

ひとりひとりにスポットを当てると、
決して極悪非道な人間ではない。