■準備ができていない、とは

アルフレッド・アドラー
人間が必ず直面することになる課題を
”人生の(3つの)課題”と呼んでいます。

その課題とは
「交友」
「仕事」
「愛と結婚」

です。

これらの課題に立ち向かうためには
相応の準備が必要です。

その準備とは
社会適応能力が相応に
養われていること
です。

社会適応能力は共同体感覚
高めることで養われます。

その高め方を端的に示せば
他者貢献活動をして
客観的貢献感を得ること
」です。

そのためには
他者への関心」が必須です。

その「他者への関心」を
養うことを援助すること

アドラー「教育」と言っています。

家庭においても
学校においても
適切に教育を受けられなかった子
社会適応能力が養われないままに
18歳あたりの
”成熟しかけている年齢”
を迎えることになります。

もしそこで
相応の準備が整っていたならば
課題に直面しても
そこにある困難に対して
勇気を使って立ち向かって
他者の力も借りながら
解決へと進むことができます。

しかし、
準備が整っていなければ
そこにある困難に対して
立ち尽くすことしか
できなくなってしまいます。

自力での解決ができないと
感じることには、
何も打つ手がないと
見えてしまうからです。

かといって、
課題は待っていれば
自然と解決されるものではありません。

直面し続けることになるため
どうにかそこにある困難を避けて
ただただ課題をやりすごすこと

注力することになります。

まわりの人たちが
課題の困難を克服して
解決していく中で、
自分ひとりできないことになると
社会的に取り残されてしまうことに
なってしまいます。

そこで必要となるのが
他者によく見られることです。

実際には
「課題の解決をしたいけど、
方法がわからない」

となっているところを、
「課題の解決をしたいけど、
できない状況」
と見せたくなるわけです。

それで自分は
努力をしているけど
不可抗力によって成果が出ない、
と見せられることで、
周囲の人に自分をよく見せることができ、
社会的に取り残されることを回避しよう
とするわけです。

このような状況を
アドラー神経症
呼んでいます。

その神経症の強度が増えていくと
やがて自傷行為や精神病と呼ばれるような
深刻な状況となってしまうわけです。

■交友の課題

人間が最初に直面する課題が
「交友」です。

「交友」の課題は
友達をつくることです。

通常であれば、生まれてから
生活は親が支えてくれるので
「仕事」の課題は最初ではないのです。

学校に通うなどして
友達を得られる状況となります。

友達との良好な関係を築く過程で
他者への関心を持ち、
相手の役に立つことをすることで
客観的貢献感を得られます。

そうすると共同体感覚が高まり、
結果、社会適応能力が養われる
わけです。

客観的貢献感とは
主観的に自分の行動を
「相手の役に立った」と
自分で決めて感じる貢献感ではなく、
相手が喜んでくれたり、
相手から感謝をもらったりするなどして
客観的な観察によって
「相手の役に立った」と感じた時に
自然と感じられる貢献感です。

その際に重要な要素が
自立」と「社会との調和」です。

これらは、端的にいえば、
愛される側から
愛する側に立つこと
です。

関心を他者の利益にむけつつ、
今の自分にできないことではなく
今の自分にできることによって
他者に役立とうとし、
自分の都合で他者を
敵味方に切り分けずに
心理的距離は違えど
皆仲間であるとして取り組むのです。

この「自立」と「社会との調和」は
「交友」の課題のみならず
「仕事」と「愛と結婚」についても
共通して役に立つものです。

■仕事の課題

18歳などの
”成熟しかけている年齢”になると、
「仕事」についても直面し始めます。

「仕事」は
自分の経済的自立をする手段
であるとともに、
職業の目的である社会貢献の手段
となる課題です。

社会とは、対人関係のことで、
一般的には地域や国を
指すことが多いですが、
自分と相手」という
2人で構成される対人関係も
含まれます。

つまり、
社会貢献とは
小さく見れば
相手の役に立つこと
となります。


誰でも経済的自立は
生きていくために必須事項です。

もしこの時点で社会適応能力が
相応に養われていない場合は
社会貢献の困難に立ち向かう準備が
できていないため、
仕事とは経済的自立のこと
とすることになります。

それはつまり、
自分が経済的に自立さえできれば
他者はどうなっても構わない

となってしまう、ということです。

これは自分にばかり関心を
向けていることとなり、
他者への関心は養われません

それは、すなわち、
共同体感覚が高まらないこととなり、
結果、社会適応能力は養われない
こととなります。

もし準備ができていないとしても
仕事の課題の困難に立ち向かい、
それを克服し課題を解決していくことで
共同体感覚を高められるので、
そこから社会適応能力を
養っていくことは可能
です。

でも、
準備ができていない状況から
援助もなしに
困難に立ち向かっていくことは
なかなか難しいことなので、
立ち向かわずに進んでしまいがちです。

こうして「仕事」の課題を
ずっと解決できないまま
年齢を重ねてしまうことと
なってしまいます。

そうして、
いつまでも準備ができない人は
誰かの下について働くことや
他者と一緒に働くことが
困難な状況
にあります。

アドラーは、
そんな仕事への準備が整っていない人は
仕事に就くのが遅くなったり、
30歳になっても自分がどんな職業に
就きたいのかわからないでいたりする、
と指摘しています。

自分の利益にしか関心がないので、
自分で事業を持っても
お客さんの利益よりも
自分の利益を優先するので、
やり方によっては
お金は得られるかもしれませんが、
他者貢献活動による客観的貢献感は
得られないため、
いくら稼いでも
しあわせを感じにくい状況

が続くこととなります。

自分の利益第一なので
勉強をしても、
頻繁にその分野を変えます。

会社など誰かに雇われる場合には
その雇い主の利益の実現よりも
自分の利益を優先することとなり、
雇い主との関係を良好なものとできずに
次々と職場を変えていくこと
なりがちです。

アドラー
このような状況にさせないためにも
家庭でも学校でも
将来どんな職業に就きたいかについて
子に関心を持つように
はたらきかけることが大切だ

と指摘しています。

例えば、
「将来やりたい職業」の作文を
書いてもらうこと
、などです。

将来どのような職業に就いて、
いくら稼ぐのか、よりも、
どんな方法で社会貢献したいのか
と子が考える機会を持つように
周囲がはたらきかけなければ
子が自然と考えることは
ないと考えるからです。

また、
今がどんな状況であれ、
自分の努力によって
他者への関心」を訓練し、
他者貢献活動を重ねて
客観的貢献感を得ることで
共同体感覚を高めることは
十分に可能です。

自分の関心が
自分の利益ばかりに向いてた
期間が長ければ長いほど、
他者への関心を養うことに
感じる困難は相応に
強いかもしれませんが、
地道に訓練を重ねることで
いずれ必ず体感できる成果を
得ることはできます。







お読みいただき、
ありがとうございます。

プロコーチ10年目、常楽でした。




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