■太陽やオーロラのように

「愛は無限」と思うと
そうなります。

反対に「愛は有限」と思うと
そうなります。

愛は無限なので
分かち合うことなどせずとも
満ち溢れています。

有限と思う人は
愛してくれる人だけ
愛そうとするかもしれません。

もらったから与えて、
差し引きゼロとなって
バランスがとれる。

でもそれは
「水たまり」くらいの
小さな世界の話です。

愛は海や大気のように、巨大です。
私などが測れるような
ものではありません。

愛は無限であって
「自分が気づいてる愛」と
「自分が気づいていない愛」とが
あるだけです。

太陽やオーロラのように
常にあるけど
見えるときと
見えないときが
あるだけです。

私自身、
親の「自分の安心」のために
利用され続けてきたので、
親から愛をもらった実感が
まるでありません。

もらってないので
愛が枯渇してる状態です。

なので自分の愛を
誰かに分けるなんて
もともと持っていないので
無理だと思ってました。

でもそれは勘違いでした。

相手に大切にされなくても
相手を大切にしていると
相手は自分を大切に
扱おうと努力してくれます。


■仕事で会ったAさんの場合

あるとき仕事で一緒になったAさんが
思ったことをすぐに言う人でした。

Aさんは
心に浮かんだことをすぐに言うので
「今日はヘンな顔だね」
「あなたの○○はないよね」など
失礼に聞こえるときもよくありました。

一緒になった他の人たちは
その失礼な物言いや態度が嫌で
Aさんから離れたがりました。

Aさんのいない場で
「Aさんのあの言い方はひどい」
「あの態度は失礼だ」など
言い合ってました。

私はAさんが
孤立を怖れてるように
感じてました。

そのために
相手に嫌がられてでも
接点を持ちたいのでは?と
思ってました。

他の人がAさんから離れるので
私だけがAさんの近くに
残りました。

失礼な感じのことを言われても

「あなたの感じたことと
私の感じたこととは
違っているのは自然なこと」

そして
「あなたは、あなた。私は私。」と
整理してやりとりしていたので、

「そう感じるんですね」
「痛いところを突かれました」などと
笑ってとっとと流してました。

しばらく一緒に居ると
Aさんは普段と違う雰囲気で
「あなたはなんか違うね」と
言ってきました。

「どうしても口に出てしまって、
相手に悪いと思いながらも
思ったこと言っちゃうのは
自分が自分に甘いからだよね」

「仲良くなりたいけど
嫌われちゃう」

「どうしたらいいのか
わかんないんだよね」

私はただ中立な感じで
一緒にいただけなのですが
ぽろぽろと心の内を
話してくれました。

「Aさん、やさしくすると
奪われるような気持ちになることって
ありますか?」と訊いてみました。

「うん、ある。すごいある」

「相手にやさしくすると
どこまでも相手が自分の領域に
入ってきてしまうような感覚?」

「なんでわかるの?」

「なるほど」

Aさんは
「与えても返ってこない」
「与え続けると枯渇する」
「枯渇すると自分の分がなくなる」
だから何のために与えるのかが
わからなくなってしまう。

でも孤立はいやだ。
相手との接点をなんとか持ちたい。

だから失礼なことでも
言い放ってしまう。
嫌がられてでも
何もないよりはマシ。

Aさんは何度もうなずく。

愛は海のように
無尽蔵にあるもので
その中で我々は生きていると
感じてみること。

そして
今は自分が投げたいボールを
思い切り投げてるから
ほとんど相手が受け取れない状況。

それを
相手が受け取れるボールを
投げるようにしてみることを、
提案してみました。

もともと愛情深い方なので
「愛は海のように無尽蔵」が
するっと腹落ちしたようで
納得の様子。

「相手が受け取れるボール」は
相手に何か言う前に
「どんな言葉をもらうとうれしいか」を
感じてみることに。

例えば
「今日はヘンな顔だね」と言う前に
心の中で確認して
「今日は無理せず楽しんでいこうね」と
渡す言葉を選んで感じてみる。

実際にやってもらったら
目を丸くして
「仲良くなった感じがした」と
喜んでました。

そうして過ごして
その日が終わって別れるときに
目に涙をたたえて
「初めて人とつながれた気がする」と
うれしそうに話してくれました。


■一回きりでも挑戦できる

宅急便の人や
コンビニのレジの人みたいに
一回会ってそれっきりの人は
次の機会がないので、
継続したやりとりを
観察できません。

でもそんな人たちにも
その後に自分が渡した愛が
リレーのように他の人に
渡っていったらいいな、と
感じることで
大切に扱ってあげられそうです。

もちろん、自分の
挑戦できる範囲で。



お読みいただき、
ありがとうございます。

プロコーチ8年目、常楽でした。


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