その状況において
適切な行動と
不適切な行動とが
あります。

適切・不適切とは
その先で共同体感覚が
高まりやすくなるのが適切で、
高まりにくくなるのが不適切、
ということです。

自分が注目を向けた方が
育ちます。

育てるなら
適切な行動です。



「廊下を走ってはいけません」と
注意すればするほど
廊下を走る子供たち。

廊下を走れば
注目される。

他の方法で注目されなければ
廊下を走れば注目されます。

子供たちは
注目される手段を
そう学習します。

「廊下を走る」に
注目するから
「廊下を走る」が
育ちます。



外勤営業時代に
職場によく遅刻するAさんが
いました。

遅刻したら
職場のボスに
激怒されます。

激怒されるのに
Aさんが遅刻することは
減っていきませんでした。



そのボスは
「遅刻したときに
オレを笑わせたら
お前らの勝ちだ。
見逃してやる」という
ルールを敷いてました。

Aさんはそのルールを活用し
ボスを笑わせることで
お叱りを逃れることも
よくありました。

印象的なのが
上はネクタイだけ
下はトランクスだけの
ボロボロな状態を装って
「すみません!
途中で山賊に襲われて
遅くなりました!」と
駆け込んできたときです。

いつもは激怒するボスは
笑ってしまって
どうにも怒れなくなり、
「もういいよ、
さっさと仕事しろ」と
Aさんを追い払います。

そんなAさんは
遅刻対策は職場随一でしたが
営業成績は伸び悩んでいました。



私が外勤から
営業活動する部下をまとめる
内勤に変わったときに
そのAさんが私のチームに
配属されました。

遅刻とかどうでもいいから
営業がんばろう。
そう言い聞かせて
遅刻はほとんど無視してました。

遅刻する人は昇進できないと
皆、知ってましたし。

Aさんが
山賊に襲われて遅くなったと
入ってきたときには
笑ってしまいましたが、
稼ぐチャンスが減ったね、と
伝えるくらいしかしませんでした。

私が注目したのが
「売れたとき」でした。

売れるとその日は
英雄扱いです。

Aさんの遅刻は
最初は減りませんでしたが
私が遅刻に注目しなくなると
翌月からは遅刻が減りました。

「遅刻すると注目される」が
今までの方程式だったのに
遅刻しても注目されず、
「売れると注目される」に
書き変わった感じです。

遅刻の減ったAさんは
遅刻対策や遅刻の演出より
営業活動に力を注ぐようになり
それに応じて営業成績も伸びて
その後係長に昇進しました。



「それは不適切だ」と
不適切な行動に注目すると
その行動が育ちます。

やめさせる目的であっても
相手はその目的よりも
注目を得る手段と受取ります。

例えば
「なんてお前はダメなんだ」と
いくら言っても相手は
なかなか変わりません。

それはその「ダメ」に
注目しているため、
その「ダメ」がなくなると
注目されなくなる、という
力がはたらいているためです。

何度言っても
コップの水をこぼす子は
「こぼさないでね」と
言えば言うほど
「こぼすと注目される」が
刷り込まれます。

「しっかり持ってて」とか
「静かに持ってみて」など、
何かを禁止する呼びかけより
何かを実現させる呼びかけの方が
効果的なのはそのためです。

その上で、
相手が目標を達することが
できたときには
「できたね、うれしいね」と
その喜びを共感したいですね。





お読みいただき、
ありがとうございます。

プロコーチ8年目、常楽でした。


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