TOMIXから秋に発売予定の新製品が発表になりましたが、私の目を引いたのが「国鉄 72・73形通勤電車基本/増結セット」です。

 

TOMIXのHPに掲載された新製品情報を読み解いてみると、京浜東北線で1971年まで活躍していた72・73形で、1966年頃の5両編成と3両編成を併結した8両編成をモデルとした製品になるようです。

左から、従来製品の①クモハ73,②クハ79,③クハ79-300,④改造品のクハ79-300後期形です。

 

従来製品は、基本セット(品番92067)と増結セット(品番92068)があり、何れもぶどう色のクモハ73+サハ78+モハ72+クハ79の4両セットで、基本セットのモハ72が動力車になっていました。両セットとも、先頭車が写真の①クモハ73,②クハ79で、ヘッドライトとテールライトのみが点灯するHG仕様の製品でした。

 

①クモハ73は、特徴ある三段窓に、客用ドアはプレス二段窓で製品化されました。従来セットの②クハ79や中間車のモハ72・サハ78も、側面窓と客用ドアは同一形態でした。

 

このセット以外に、単品車両も発売されていました。上記と同一形態のモハ72のM車(品番2935)・T車(品番2936)の他に、近代化した車両も加わりました。

単品発売の③クハ79-300形(品番2958)は、前面窓が傾斜10°のHゴム支持となり、戸袋窓と客用ドア窓もHゴム窓化され、少し近代化したイメージの車両になりました。実車では、クハ79354~79420(偶数)とクハ79301~79387(奇数)が該当します。他に、クモハ73の近代化改造車(品番2963)も単品発売され、更に以降には多数の色違いや形状違いのバリエーション製品が発売されましたが、秋の新製品とは趣旨が異なるので今回は記述を省略します。

 

では、秋に発売される新製品の72・73形セットの概要を見てみましょう。

基本セット(品番98377)は5両セットで、内訳はクモハ73+サハ78+モハ72M+モハ72T+クハ79で動力車が入っています。一方、増結セット(品番98378)は3両セットで、内訳はクモハ73+モハ72T+クハ79-300となり、クハ79は基本セットと異なる300形の偶数車(354~420)になると明記されていますので、③クハ79-300形(品番2958)と同等品になるようです。基本セット5両の大宮方に、増結セット3両を併結して、京浜東北線の8両編成を再現しますので、当然茶色(ぶどう色)です。

 

製品ランクとしてはHG製品で変わらず、側窓は三段窓,ドア窓はHゴムの姿を再現と記され、戸袋窓は三段窓のままで、③クハ79-300形の様に戸袋窓もHゴムの姿にはならないような表現になっています。戸袋窓がHゴムの姿になっておれば、側面が従来製品と異なったイメージになったのですが、メーカー方針ですから仕方ありません。

 

然しながら、従来製品と異なる仕様が多数盛り込まれるようです。

ヘッドライト・テールライトは、常点灯仕様で変わりありませんが、電球が電球色LEDに変更されています。運行番号表示部は印刷済みパーツとなり、電球色LEDで点灯するようになり、ライトのON/OFFスイッチと連動して消灯するそうです。従来製品になかった印刷済み前面用サボ受けパーツも付属するとのことです。

動力周りでは、モーターが最新型のM-13となり、フライホイール付になります。台車は待望の新集電システムになり、黒色車輪が採用されます。BMTNカプラーはSPタイプが標準装備されています。

 

今回の発表で、お~ 72・73形が発売されるぞと期待して、公開資料を読み解いてみた結果ですが、従来製品を持っているユーザーにとっては、動力機構がフライホイール付のM-13になり、新集電システムになったこと以外は、後継のバリエーション製品で採用された機能が反映されただけなので、是が非でも購入するぞとはならないのではとも思います。折角のリニューアル製品ですから、500番台車を投入して欲しかったなあと言うのが本音です。一歩譲って、せめて増結セットの目玉であるクハ79-300も、ヘッドライトが幕板部に埋め込まれた④クハ79-300後期形(偶数車:クハ79422~79488、奇数車:クハ79389~79467)に、できなかったのでしょうか。この後に続くであろう製品展開に期待することにしましょう。

 

【追記】 2020.9.23

 発売された新製品での上記以外の主な追加情報です。

(1) 前面用のサボ受けパーツの印刷は、基本セットが「鶴見」・「桜木町」・「東十条」、増結セットが「大宮」・「蒲田」・横浜線の「磯子⇔八王子」・「(看板なし)」とのことです。

(2) 前面の運行番号幕に使用する印刷済みのパーツは内側から嵌め込む仕様で、同じランナーに今回の両セットには使用しない前面の行先方向幕パーツ(基本:鶴見・桜木町・東十条,増結:大宮・蒲田・磯子・八王子)も付属しているとのことで、近代化改造のクモハ73やクハ79-920も追ってリニューアル発売されることを示唆しているようです。

(3) ライトの遮光ケースが、乗務員室と客室との仕切り板を淡緑色で表現したものに変更され、前面窓から見える良いアクセントとなり、従来製品とは一線を画すものになっています。

(4) BMTNカプラーも、両側に配管を追加した実感的なものに変更されています。

 

 

【メーカー情報】

 トミックスインフォメーション 20200409-4

 国鉄 72・73形通勤電車基本セット

 国鉄 72・73形通勤電車増結セット

 

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