国際頭蓋顔面外科学会での発表

 

9月16日からパリの化学館で行われた国際頭蓋顔面外科学会で発表してきました。

この学会は3年に一度開催されている学会で、その名の通り、頭蓋骨や顔面骨の変形を対象とした少々特殊な分野の学会です。

 今回私達が発表したのは、顔面の非対称性の変形を治した後、形に対して客観的に評価する試みを発表してきました。

 と云っても“何のことですか?”ですよね。

具体的に画像で説明しましょう。

 

この鼻はどこかおかしいでしょうか?

なかなか判りづらいですよね。

よくよく見ると少しだけ左に変位しているのが判ります。

我々はこうした微細な変形は光の反射で鼻背のラインを追って認識しているのですが、なかなか客観的には判りづらいのも事実です。

この患者さんは陳旧性鼻骨骨折という状態で、子供の頃の鼻骨骨折で変形を気にされていたのですが、複数の形成外科で、その変形が軽度で、それゆえ細かい修正は困難だと手術を断られていました。

紹介で僕の施設を来院され、鼻骨の骨切りを行うことになりました。

二つ目の写真は鼻骨を修正した手術後の写真です。

鼻背の光の反射を追っていくと真っ直ぐになっているのがかろうじて判りますが、単独の写真では判断しにくいです。

 

これを術前と術後写真として並べてみました。

向かって左の写真が術前の外貌、右の写真が術後です。

 

こうして見比べると術前は鼻背の中央部あたりが左に変位していること、術後は鼻背のラインが真っ直ぐになり、中央部の陥凹が改善したことが判ります。

しかし、それはかなり注意深く観察して判ることです。

これを一目で簡単に判るようにしようとするのが、今回の私達の発表の趣旨です。

自動車の工場で塗装の仕上がりを検査するのに、蛍光灯を並べて塗装面に写しこみ凹凸をチェックする手法があります。

これをコンピューターの画面上で行う手法がゼブラ・ストライピングといいます。

これで、この患者さんの術前術後を見てみましょう。

  

 

 

鼻背の曲がりがはっきり判りますね。

これで誰でも客観的に変形を認識できるわけです。

この鼻骨変形治癒骨折矯正術は健康保険でできますし、鼻の穴の中を切るだけなので、顔に傷が残ることはありません。

私たちは、この手法を医学の分野では世界に先駆けて応用し、2012年頃よりISCAS(国際コンピューター支援外科学会、CARSという別名もあります)を中心に発表してきました。

今回は、この手法を小耳症で顔の骨が左右非対称になっている患者さんに応用して分析した結果を発表してきました。

 

 

閑話休題

難しい話はさておき、ちょっとパリのお話をしましょう。

初秋のパリってワクワクする街ですね。

実は、この6月にもフランスのレンヌという街でISCAS(CARS)が開催され、そちらでも発表してきたのですが、その時もパリで一泊しました。

6月のパリはまだ初夏のはずだったのですが、ずいぶんと蒸し暑く、宿は狭くて宿代も物価も高く、治安は悪く、、お金はない(これは僕個人の問題ですが)と散々な印象でした。

 

今回はパリ北駅の真ん前の宿を取ったのですが、意外と広くて快適な宿でした。

いわゆるデザイナーズホテルの範疇に入るのでしょうが小奇麗で、エレベーターがのろくて小さいことを除けば良い宿でした。

パリ北駅っていうと治安が悪いので有名ですが、通りを隔てて駅の正面という立地で、一階は深夜まで営業しているカフェですから、まあ安心です。

北駅も昔と比べると随分ときれいになり、コンコース一階にはミッシェラン星付きのレストラン(の支店)も入っていて、ここでの朝ご飯も美味しかったです。

星付きのレストラン(の支店)にもかかわらず、結構オジサンが一人で食べてたりして(お前もな)、僕にとっては吉牛の朝定食くらいにフレンドリーでした。

 

  

 

写真左は学会があった化学会館(なんていう味気ない名前だ!)、写真中央は学会場(ドレスコードは・・・?)、

写真右はモンパルナスのダリ美術館(展示内容は結構過激!)です。

 

 学会のガラ・ディナーが軍事博物館であったのですが、直前で予約が取れなかったので今流行の日本人シェフのフレンチレストランに行ってきました。

いわゆるヌーベル・キュジュイーヌにさらに和のテーストを加えた感じでした。

一品の量を少なくして皿数を多くというコンセプトで、確かに女性には受けそうでした。

僕にはがっつりとビストロで肉料理の方が向いてるかなというのが感想です・・・・。

 

 

竹市 夢二