冬 の 花   

                                                Lilic 宮本浩次

 

いずれ花と散る わたしの生命 帰らぬ時 指おり数えても
涙と笑い 過去と未来 引き裂かれしわたしは 冬の花

あなたは太陽 わたしは月 光と闇が交じり合わぬように
涙にけむる ふたりの未来 美しすぎる過去は蜃気楼

旅みたいだね  生きるってどんな時でも
木枯らしの中 ぬくもり求めさまよう

泣かないで わたしの恋心 涙は'お前'には似合わない
ゆけ ただゆけ  いっそわたしがゆくよ
ああ 心が笑いたがっている

なんか悲しいね 生きてるって  重ねし約束 あなたとふたり
時のまにまに たゆたいながら 涙を隠した 幸せ芝居

さらば思い出たちよ  ひとり歩く摩天楼
わたしという名の物語は 最終章

悲しくて泣いてるわけじゃない 生きてるから涙が出るの
こごえる季節に鮮やかに咲くよ ああ わたしが 負けるわけがない


泣かないで わたしの恋心  涙は'お前'には似合わない
ゆけ ただゆけ   いっそわたしがゆくよ
ああ 心が笑いたがっている

ひと知れず されど誇らかに咲け  ああ わたしは 冬の花

 独白 「胸には涙 顔には笑顔で 今日もわたしは出かける」

 

 

 

      寒風すさぶ 二月の末近く 

    冬は終焉であろうが、きょうのこの寒さこそこの歌だと

    (寺山の歌を書いたので、これも載せてみた)

    何年もぼーっと聞いてきて、身体にしみ込んだ頃に改めて歌詞と向き合う

    「生きているから涙が出る」のかぁ  負けたな

 

    5年前 バラッドの集大成のようなこの歌を作って

    いのち果てるのではないだろうかと案じたりもしたが

             このあと、彼はどこに向かうのだろう