とぅるー はぴねす  (48ページ) | 緋鷹由理 

緋鷹由理 

たぬこと熊太の徒然日記を主に掲載しています。

ほんとうのさいわいをさがしに 2

 

手元にある本の奥付を確認する。

最近重版されたものだ。これは僕が貸した本じゃない。

どうして?

なぜ七星はこんなことをしたのだろうか。

僕は『銀河鉄道の夜』の表紙を眺めながら考えていた。

わからない。

わからないなら、考えればいい。

とりあえず、なにか手がかりを探そう。

僕は本を開いた。

最初に読むのは、もちろん表題の「銀河鉄道の夜」だ。

この作品はもう何遍も読み返した。

僕は目を皿にして読み慣れた文章を追っていく。

これは、いったい?

本には赤いボールペンで線が引いてあった。

それは「銀河鉄道の夜」のクライマックスの一節だった。

――どこまでもどこまでも僕たち一緒に進んで行こう。

どういうことだろう。なぜ、七星はこの一説に赤い傍線を引いたのだろう。

僕の貸した本ではなく、わざわざ自分で新しい本を買って、この部分に線を引いて僕に手渡した。

つまり、この一文が僕へのメッセージ、なのか?

――どこまでもどこまでも僕たち一緒に進んで行こう。

一緒に進んで行こう。

一緒に。

僕は君の傍にいてもいいの?

七星と一緒にいてもいいの?

僕は何度も何度も「銀河鉄道の夜」を読み返して夜を過ごした。

 

〔つづく〕 

                                                             

登場人物

水無瀬弘海   主人公(みなせひろみ) 

高群  七星   主人公と同じ部活の後輩

鈴木 彰     ひたすら筋トレを誇張する、主人公の友人


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草薙香(くさなぎかおり)  の小説


編集掲載・緋鷹由理